先日訪問した工業塗装専業者では、来春に大学新卒者が5名入社する予定という。社長に話を聞くと「新卒の大学生を採用するのは初めて」で、しかも一度に5名とは思い切った決断だ。この業界でも人材確保が深刻な問題となっている中での新戦力の確保に社長は顔をほころばせていた▲人材確保という点で、コロナ禍は中小企業にとって追い風の側面を見せている。業績悪化で採用を控える大手企業が増えているため、学生の目はこれまで以上に中小企業に向けられているからだ。求人活動に関して今を好機と捉える向きがある▲ただ、先の塗装専業者のケースで言うと、単に"追い風"に乗っただけではない。人材育成の強化はもちろん、数年前に専門業者に委託し、会社紹介とは別に求人専用の動画をYouTubeにアップし情報発信を強めていた。言うなれば"追い風"を受ける"帆"を立てていたのだ▲別の工業塗装専業者の話になるが、そこでは専門業者に自社のInstagramの更新を依頼している。将来顧客になり得る若者に対して有効なアプローチをかけるのが狙いだ。長期スパンを見据えた戦略という▲さまざまなSNSが普及する今は誰でも情報を発信でき、誰でもそれを受け取れる。重要となるのはその精度で、対象がニッチであっても効果的な成果が期待できる(T)