「あ、パンツをはき忘れた...」。もとい、「マスクを着け忘れた!」。下品な例えで申し訳ないが、それほどまでに私たちの生活に染みついたマスクの着用。それを外して出歩ける日が近づいているのだろうか、どうも実感が湧かない▲新型コロナワクチンの2回目の接種を終えた人が国民の半数に達したという。賛否はあるものの、行動制限緩和への声も聞こえ始めてきた。委縮した生活から解かれ、消費が戻って経済も回復、そんな期待を抱きたくなるが、事はそう簡単に運びそうにない▲消費を抑えた倹約的な生活は、コロナ下だけに限らず実はもう30年も続いている。バブル崩壊後の長いデフレスパイラルの中で、所得は上がらず防衛的な生活を強いられ続けてきた。この間に染みついたデフレマインドが却ってコロナ下の消費抑制にも適応し、ロックダウンを強いた諸外国ほどの混乱が避けられた、と皮肉な見方もできなくはない▲接種が進んで"リベンジ消費"に沸き、急速な経済回復を見せる米欧や中国。独りデフレ下で消費パワーを失くしたままの日本。「コロナが終わっても変わらない」、そんな閉塞感が拭えない▲さて、ワクチンを2回打ち終えたので、試しにマスクなしで出歩いてみた。射るような視線に撃たれ続け、早々と降参したのは言うまでもない(K)