「アスベスト対策はやっているの?」。住宅の外装リフォームの現場で、近隣の住人から聞かれるケースが増えているそうだ。一般住宅のリフォームでもアスベストの飛散防止対策が必要との認識が広がり、近所に足場が掛かると気にする人が増えてきた▲建物の改修工事におけるアスベスト対策の規制強化がいよいよ来月から始まる。施工範囲の部位や建材へのアスベストの有無を事前に調査し、その結果を監督官庁と施主に報告する義務を元請業者は負う。100万円以上の改修工事が対象なので、戸建て住宅の塗り替えのような小さな工事でも多くが該当する▲「塗装は塗り重ねるだけだから関係ない」と高はくくれない。高圧洗浄やクラック補修、シーリングの打ち替えなど旧塗膜や基材の内部を露出する作業がある場合、アスベスト飛散の可能性が生じるとして事前調査と報告義務が課せられる公算が大きい。従って、町場の塗装店といえども対応は必須で、他人ごとでは済まされない▲多くの人にとってこれまで遠い存在だった「アスベスト」が、今回の法改正でグッと身近なものになった。テレビや新聞で見聞きしていた「怖い」アスベストが、隣りのリフォーム工事で発生するかもしれないと改めて認識したからだ。塗り替え工事への「近所の目」は格段に鋭くなる(K)