「メタバース」の話題を見聞きすることが多くなってきた。コンピュータで作った自分の分身(アバター)をネット上の仮想空間に住まわせ、仕事もプライベートもそこで完結させる、現実を超越した新たな世界「メタバース」。SFのような未来がまたひとつ近づいていると喧伝されている▲手触りや衝撃といった"触覚"をデジタル技術で再現する「ハプティクス」の開発も進んでいると、少し前の新聞で読んだ。遠隔に置いた2台の装置で力の感覚を共有し、埼玉にいる左官職人が大阪の現場の壁を仕上げたと記事では紹介。刷毛やローラー作業の感覚もそのうちデジタル化され、「今日はメタバースの現場」なんて日も近いかもしれない▲その一方で、テクノロジーの進化がもたらす負の側面にも目が向いてしまう。そこにいながら何でもできてしまうメタバースのような世界が広がると、歩いたり動いたりすることが減り、人間の機能が退化していくのではないかとの疑問。そういえば、小欄の「コロナ太り」も退化の一例かも▲在宅勤務で仕事のオンライン化が進み、歩くことがかなり減った。スマホの歩数計アプリによると、1日の平均歩数はコロナ前に比べて3割以上も減少、その分体重はしっかり増えた。「メタバース」以前に「メタボ」が気になる今日この頃(K)