起こりうるリスクをあれこれ考え、過剰に気を揉むことを心配性という。ただ、そのほとんどは杞憂に終わるらしいから、心配性も損な性分である▲戸建住宅の塗り替え需要の先行きを占う上で、ちょっと心配になるデータがあった。団塊の世代(1947-49年生まれ)の持ち家率である。800万人もの巨大な世代人口を抱え、高度経済成長からバブル期まで生産と消費で繁栄を支えた団塊の世代。その隆盛ぶりを示すように、この世代の持ち家率は86.2%と突出して高い。しかもそのうちの9割近くを戸建てが占めるという▲「郊外庭付き一戸建て」に憧れて林立したこの世代の膨大な住宅ストックが、その後のリフォーム需要を支えたのは想像に難くない。高い所得と消費に旺盛な団塊の世代がいたからこそ、住宅リフォーム市場が成立してきたとも言える▲団塊の世代が全員後期高齢者になった今、リフォームの主役はそのジュニア層(1971-74年生まれ)に移った。バブル崩壊後に社会に出たこの世代は、所得が上がらず消費に保守的なコスパ重視のデフレ世代。持ち家率も63%と大きく下がった。この世代交代が塗り替え市場にどのような影を落とすのか、心配が募る▲アメリカの大学の調査結果で、心配事の97%は取越し苦労に過ぎないとのデータもある。頼ってみるか(K)