和信化学工業の木材保護着色剤「ガードラック」が11月で発売40周年を迎えた。近日にも当時採用したデザイン缶を復刻版として投入する計画で、これまでのファンの愛顧に応えるとともに新機能を付与した製品開発で更なる成長を目指している。

浸透性タイプの木材保護着色剤「ガードラック」を発売したのは、昭和52年11月。売上の約21%を占めていた金属用塗料の売上減少に替わる存在として白羽の矢が立てられたのが汎用分野の開拓。当時、木工家具用塗料を主体としていたことから顧客のほとんどが工場向けだったが、住宅用塗料分野で防虫、防カビ、防腐性能が要求されている現状をキャッチ。大手プレハブメーカーや住宅建材関係への展開に足がかりになるとの期待もあり、住宅市場向け塗料の製品開発に注力することとなった。

その先頭に立ったのが「ガードラック」。発売2年前の昭和50年3月に開発をスタート。薬剤を含んだ重合性モノマーを減圧・加圧含浸させて性能強化する方法がある中で、同社が見出したのは、刷毛塗りで薬剤を浸透させ、木材表面に膜を形成しないマジソン方式の採用。米国マジソン林産研究所が発表していた方式を参考にした。

ただ開発が進むにつれて、塗料に薬剤を混合するだけでいいのか、木材内部に薬剤や樹脂を深く浸透させるにはどうするか、酸素供給が不十分な木材内部で樹脂をいかに硬化させるかなど、技術ハードルが立ちはだかる。また当時、屋外木部にはペンキやフタル酸塗料など安価な造膜タイプのエナメル塗料が多く使われている中で、高価な浸透性塗料が市場の評価を得られるか、営業面での心配もあったという。

その中で技術面を支えたのは、製薬会社との技術提携。製薬会社の技術研究所の協力により基礎研究から薬剤の調合、微生物試験などの研究を可能にし、当時先行していた輸入品を上回る防虫、防カビ、防腐性能を確認。また塗料として必要な刷毛さばき性、塗り重ねむら、臭気、乾燥性、浸透性、色調、仕上がり感などの試験確認を経て、念願の商品化が実現した。以来、「水性ガードラック」(1989年)、「ガードラックアクア」(1997年)、「ガードラックラテックス」(2004年)を相次いで投入し、国産ブランドとして市場でポジションを築いていった。

特に水系半造膜タイプの「ガードラックアクア」、水系浸透性タイプの「ガードラックラテックス」は、薬剤をカプセルに内包させたマイクロカプセル技術を採用。長期的に薬剤成分を放出することができるため、低臭化に寄与するとともに木材保護効果の持続性を高めることに成功した。

現在、同社はさまざまな成分をマイクロカプセルに内包させることが可能なことから「さまざまな機能付与を検討している」(担当者)と既存製品に新機能を付与した製品開発を積極化する方針。また木部以外の用途も見据えるなど「ガードラック」で培った技術を次の時代に生かそうとしている。