大塚刷毛製造が2月に発売したオリジナルローラーが塗装業界の景色を変えるかもしれない。塗装職人がデザイン性の高い塗装を強みにでき、業界全体の底上げが期待できるためだ。デザインを自在に操れる塗料・塗装ならではの魅力を引き出せ、付加価値の高い塗装工事を広げそうだ
同社が今月発売したのは「海綿風スモールローラー」。天然の海綿が出すテクスチャーを、スポンジローラーで再現できるデコペンツールだ。
デザイン塗装などで多用されている天然の海綿は、「高価なことに加え、収穫量が不安定で生育状況によって品質のバラツキも大きく、安定供給の面で課題があった」(担当者)と説明。
これに対し、同社は人工素材のウレタンフォームを基材に開発に着手。ブロックの形状や穴の大小など製法での工夫を重ね、天然の海綿特有のランダムな模様を表現できるローラーの開発に成功。ぼかしやエイジング、多色重ね塗りなど自然な濃淡の表現が求められる塗装仕上げにピッタリだ。
「海綿のように叩く作業ではなく、ローラーで模様づけができるので、塗装職人さんもアプローチしやすいと思う。通常のローラー作業と違って縦・横・斜めにランダムに動かすのがコツで、慣れてくれば意匠性の高い塗装を武器にしていただける」(同)と、ローラーによる作業効率のアップと工事の付加価値化を両立。「魅力的な塗装工事が広がり、業界の活性化につながれば」と塗装業界に広めていきたい意向だ。
住宅塗装でも高いパフォーマンス
この「海綿風スモールローラー」、エイジングや特殊塗装に限らず、もっと幅広い現場で活用できそうだ。例えば、打ち放しコンクリートの再現塗装の現場。「コンクリートのランダムな風合いを表現するのは得意中の得意」(同)で、有用なツールになりそうだ。
また、「塗料の希釈率を変えて重ね塗りすると奥行きのある表現ができ、意匠性がグッとアップする」と応用例を説明。他にも、「今後、新たな意匠としてメタリックが台頭してくると思う。その際、メタリック塗料をランダムに配るのに最適で、高意匠サイディングの塗り替え工事などで新たな価値を提案できる」など、住宅塗装の現場にも活躍の場が広がりそうだ。
同品は、スモールローラーの4インチと6インチを用意。標準小売価格はそれぞれ1,260円と1,560円と手頃な価格に抑えた。
「スポンジをちぎったり、ワイヤーブラシで削るなどして自分仕様の道具に育てる楽しみ方もでき、ご愛用いただけるツールになると思う。付加価値の高い塗装工事に踏み出す足掛かりになれば」と認知を広めていく。
HOME建築物 / インフラ塗装業界の景色変えるポテンシャル「海綿風スモールローラー」