建築・建設市場に向けて塗料産業が存在感を示した。製販装3団体と塗料メーカーなど6社は共同で、建築・建設市場に向けた国内最大級の展示会「JAPAN BUILD TOKYO」(昨年12月11~13日、東京ビッグサイト)に初出展。共同ブースの「PAINT PAVILION(ペイントパビリオン)」が多くの来場者の関心を集め、アピールに成功した。共同出展ならではの効果を確認でき、普及活動への新たな展開がひらけた。
東京ビッグサイトで開催された「JAPAN BUILD TOKYO」は、建築・建設・不動産業界へ向けた製商品やサービスが一堂に出展する展示会。特に、設計やゼネコン、ディベロッパー関係の来場者が多いことから、建設市場の川上に向けたアピールの場として知られている。
日本塗料工業会、日本塗料商業組合、日本塗装工業会の製販装3団体からなる塗料塗装普及委員会は、普及活動への具体的なアクションとして同展示会に出展することを決定。日塗工・普及広報部長の清水慶司氏が中心となり、今年春ごろから準備を進めてきた。上記の3団体に加え、日本ペイント、関西ペイント、水谷ペイント、アトミクスの塗料メーカーと、東洋アルミ、be different.の計6社が共同出展に参画、「PAINT PAVILION」のブース名を掲げ、アピールした。
共同出展による効果の1つ目は集客力だ。今回、他の出展社より広い6小間のスペースで展開したことにより、会場の中央付近の最も人通りの多いロケーションに配置。多くの来場者の目に触れ、立ち寄りやすい場所にブースを設置することができた。
更に、「PAINT PAVILION=塗料の展示館」という広い括りにしたことで、多くの来場者を誘導することができた。関心がないと素通りされやすい個別の企業や製商品と異なり、塗料全般をイメージさせることで「何か面白いものが出てきているかも」など、建設関係者の関心を引き出せた。
共同ブースは、出展企業にもメリットがあった。他の展示会にもよく出展するという塗料メーカーの担当者は、「単独出展だとブースに人を呼び込むのにいつも苦労しているが、今回はその負担がなく、多くの来場者に自社製品のPRができている。共同ブースなので、単独出展に比べて費用も3分の1程度に抑えられ、費用対効果の高さを実感できる」と評価。
出展各社はイチ押しの製品や得意技術、特徴的なサービスのアピールに努め、手応えをつかんでいた様子だ。日本ペイントと関西ペイントの展示が並ぶなど、共同ブースならではの光景も広がっていた。
塗料マイスター、存在感示す
今回のPAINT PAVILIONで活躍が光ったのが、日本塗装工業会と日本塗料商業組合の業界団体だ。ブース全体をプロデュースした日本塗料工業会を含め、製販装の各業界団体がそれぞれの役割や機能を発揮することで、来場者への「見ごたえ」と「聴きごたえ」を提供できていた。
日本塗装工業会が買って出たのは、デコラティブペイントの実演塗装だ。木目模様やフェイクモルタルなど塗料・塗装にしかできない自在な表現力は、実演時の職人のテクニックも含めて見応えがあり、集客の恰好のコンテンツ。実演時間に人だかりができることはもちろん、建設関係者に塗装ならではの価値や魅力の再認識を促す上で重要な役割を担った。
そして、存在感を放ったのが日本塗料商業組合の「塗料マイスター」だ。日塗商は今回、塗料マイスターを派遣するかたちで共同出展に参画。取材に訪れた日は清元秀氏(フジミ)、富澤浩史氏(高瀬塗料)、森健夫氏(森商事)がブースに詰めていた。
塗料マイスターが担ったのは"ガイド役"としての機能だ。ブース内でパネル展示を眺めている人に積極的に声をかけ、展示の何に関心があるのか、どのような仕事で塗料を使っているのか、塗料や塗装全般で困っていることはないかなど具体的な話を聞き出し、適切なメーカーの紹介やアドバイスを行う総合案内役。
それにより、ブース内の出展社にスムーズに誘導でき、双方のビジネスの支援に機能。また、「現在の塗料の使い方を聞き、もっと合理的で効果的なスペックを提案できるのも、多くの塗料を扱っている塗料販売店ならではのスキル」(清氏)と、"聴きごたえ"のあるブースにする役割を担った。
更に、「中には、『塗料の幅広い知識を備えるため、ウチの社員にも取らせたい』と塗料マイスターそのものに関心を示す来場者もおり、新たな気づきもあった」(同)と手応えを示していた。
今回の共同出展のプロデュースを務めた日塗工の清水氏は、「塗料マイスターの体験型スキルアップの場としても有効だし、彼らがいることでブースが機能的に回転した。日塗装さんの集客力や塗装の価値の訴求も含め、塗料・塗装産業の普及活動において新しいスタイルが見出せた。出展していただいたメーカーさんにも好評で、次回は更に多くの参加を募りたい」と意欲を見せていた。
なお、今回のJAPAN BUILD TOKYOには、和信化学工業とアトミクスがそれぞれ個別で出展。和信化学は超即効タイプの「かべ・天井用 結露とカビ防止ペイント」、アトミクスはアクリルゴム系の塗膜防水材「アトムレイズJS(屋根用)」と「アトムレジーナ(外壁用)」を出品。アピールに務めていた。
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