住宅外装リフォームで消費者相談増大

住宅の塗り替え市場で、窯業系サイディング外壁の不具合に起因した改修需要が増えている。外装リフォームの消費者相談を行っている「窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所」(=SD技研、所長・古畑秀幸氏)では、ハウスオーナーなど一般からの相談件数がこれまでに300件を突破。「直張構法の住宅の経年に伴って相談件数が急増しており、窯業系サイディング材への対応力がより重要になる」(古畑氏)とし、そのメンテナンス技術を広めていきたい考えだ。


SD技研は、塗装など住宅の外装リフォーム事業者170社で組織する「木造住宅塗装リフォーム協会」(=木塗協、代表理事・古畑秀幸氏)を運営母体に2016年に発足。戸建てなど低層住宅の外壁の主流である窯業系サイディングに関して、ハウスオーナーなど一般からの相談を無料で受け付ける専門機関として活動。相談者からの要請に従って、調査・診断から修繕、リフォームまで対応する。

古畑氏によると、窯業系サイディング外壁の既存住宅は約2,000万戸あり、戸建てやアパートなど低層の既存住宅の半数に達している。「このうち、約6割の1,200万戸ほどが、外壁の通気構法が必須となった住宅品確法の施行(2000年)以前に建てられた直張構法の住宅で、それらの住宅の経年に伴って窯業系サイディング外壁に関する相談が急増している」と説明する。

躯体とサイディング材との間に通気層のない直張構法では、内側にこもった水分の影響でサイディング材の凍害や塗膜の膨れ、剥がれ、割れなどが頻発、自宅の外壁の状態に悩んでいる消費者も多い。こうした直張構法も含め窯業サイディング材全般の不具合の相談を受け付け、適切な修繕、リフォーム工事に誘導するのがSD技研の主な活動。

同技研には、塗装事業者でありながら、窯業サイディング外壁の調査・診断及び塗り替え、張り替えの技術資格を持った木塗協の会員23社が登録。無料相談から調査・診断、施工依頼に至った場合に、SD技研の「地区相談所」として各地の依頼案件に対応する。

調査・診断は、屋根、外壁、基礎など住宅の外まわり全体を、国交省の1次インスペクション及び水分計やサーモカメラなどのデジタル機器を用いて精密診断。場合によってはサイディングの剥がし検査(国交省2次インスペクション)を行って躯体の状況を調べるなどの念の入れようだ。科学的かつ精密な状況報告書と修繕計画案を依頼者に提出、要望があった場合には修繕・リフォーム工事にも対応する。

「塗り替え工事の際に窯業サイディングの劣化状態を判別できなかったため、塗装後にフクレや剥がれなどのクレームが発生するケースも散見されます。また、受注した工事が塗り替えだけで納まるのか、あるいは張り替えまで要するのか、窯業サイディングの外装リフォームが増大している中、その適切な見極めと張り替えを要する場合の施工対応力が求められる」とコメント。運営母体である木塗協の活動を通じて塗装事業者に窯業系サイディング材のメンテナンス技術を広めていきたい考えだ。



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