マンション改修の設計・コンサルタント大手の翔設計(本社・東京、社長・貴船美彦氏)は10月27日、老朽化マンション対策の新しい再生手法「スーパーリフォーム」に関するメディア向け説明会を行った。共用部分と専有部分のトータル・リノベーションで老朽化マンションを再生し、"住み継げる"マンションづくりを目指す。
現在、国内のマンションのストック総数は約675万戸を数え、このうち築40年超のマンションが約103万戸を占める。10年後にはその数が230万戸、20年後には400万戸超に増加する一方、人口減少や高齢化があいまって人が住まない(住めない)マンションの増加、いわゆる老朽化マンションのスラム化が問題視されている。
その解決策としてマンションの建て替えが提唱されているが、築40年超のマンションで建て替えに進めたのはわずか2%にすぎない。長期の移転や多大な自己負担金、そして合意形成の難しさが建て替えを阻み、実現が難しいのが実態だ。
それらの問題の解決策として同社が提唱するのがトータル・リノベーションとしての「スーパーリフォーム」だ。
マンションは十数年ごとに大規模修繕を繰り返して維持保全を図っているが、それらは共用部分のみで専用部分は住人にゆだねられている。このため住戸内の経年劣化や機能の陳腐化が進むことがスラム化を招く老朽化マンションの問題点と指摘、専用部分も併せたトータル・リノベーションによって人が住み継げるマンションに再生することを目指す。
同社が提唱するスーパーリフォームは、これまで住人にゆだねられていた専用部分のリフォームを共用部の計画修繕に合わせて同時に行うもの。それによりコストが抑えられ、建て替えに比べて資金的な問題が大幅に低減、移転期間も短縮され合意形成へのハードルも下がる。ライフステージに合わせた間取り変更や内装の刷新、設備の更新などで時代や環境に即した住戸内に変貌することで、長く快適に暮らせ、また次世代などへの住み継ぎも実現できるマンション再生を目指す。
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