工業塗装専業者の林塗装工業所(本社・埼玉県、代表取締役・林正明氏)は4月から塗装ブース槽にオゾン処理による浄化装置を導入した。装置の稼働から2カ月が経過し、塗料スラッジの減容や臭気低減といった効果が見られている。

浄化装置の仕組みとして、オゾンガスと塗装ブースの循環水が混ざることで、強い酸化力を持ったオゾンが循環水の有機物を酸化させて分解する。オゾンは強い酸化力を持っているため、有機物の分解だけでなく殺菌や脱臭、脱色といった作用がある。

その結果、塗料スラッジの微細化や再付着することもなくなったため、林社長は「これまで塗料スラッジを含んだ循環水によって配管が詰まることが多々あったが、それがなくなった。臭気についても大幅に抑えられている」と大きな効果を実感している。

処理装置の構造で重要なのがオゾンと循環水を混ぜる作業であり、水の中に完全に溶け込ませる必要がある。その役割を担うのがユニテク(本社・埼玉県、代表取締役・阪野昇氏)製の気液混合器「シャーディス」。

シャーディスは8個の羽根(エレメント)によりノンクロッグ(目詰まりがない)を可能とし、メンテナンスフリーとなっている。混合は本体内部に設置された8個の羽根で行われるが、一般的な混合機と異なり羽根と羽根の間に交点がない。そのため、ゴミが絡みにくく目詰まりを起こさない。

このシャーディス内でオゾンと塗料スラッジは完全反応するため排オゾンは出ない。オゾンは酸素となり排水中に溶存することで臭気を抑える働きを行う。

林塗装工業所の塗装ブース槽のサイズは4m×3mで水量は約3.5トン。この場合では浄化装置からは5g/hのオゾンを供給する。

オゾン処理浄化装置については、塗装設備の設計・製作を行う沖山製作所(埼玉県、代表取締役・沖山雅哉氏)が取り扱いを行う。

塗装ブースにおける塗料スラッジの処理や臭気の問題を抱える工場は多い。同処理装置は既存の塗装ブースにも設置が可能となるため、沖山製作所では塗装工場の問題解決に向けて展開を進めていく。

問い合わせTEL048-992-3261(沖山製作所)