ビックケミーは、ワックス添加剤の新製品を投入し、機能性製品のラインアップの充実を図っています。
2008年は昨年からのBYK-Chemie GmbH(ドイツ)とビックケミー・ジャパン共同のワックスキャンペーンを継続してより高付加価値のある製品、技術情報をお届けしてまいります。製品説明会開催、各会社様別のインハウスセミナーなども計画していますのでご期待ください。WEBではベースとなるワックスやワックス添加剤を基礎理論から応用例など、紙面連載以上に図表を用いながら、連載講座でご紹介をしてきました。
ワックス添加剤 連載講座(6)最終回では、ワックス添加剤の粒子径と特性、今後の展開に触れお話をまとめます。

ワックス添加剤の粒子径と特性
ワックス添加剤は固形粒子を含有するので粒径によりますが、塗膜の光沢に影響を与えます。粒径が1μm以下の場合には光沢低下はみられないので、高光沢用途に適しています。製品名では'AQUACER'というワックスエマルションがこのグループに該当します。それ以外のワックス添加剤の粒径は大きいので、光沢低下が生じます(図1)。これらの製品は単独でつや消し剤として使用することができます。さらに低グロス(全つや消し)を要求される場合には、他のつや消し剤(シリカ)などと併用して使用されます。粒子径とワックス添加剤の製造方法はコーティング材の性能に大きく影響してきます。


ワックス添加剤 - 粒子径

テクスチャーとソフトフィール効果
テレビなどの電化製品やデジカメ、携帯電話、車のダッシュボードなどのプラスチック部品は、顧客の好みも様々で要求品質も高くなります。そこで、塗料メーカー各社は顧客の要求に答えるため、テクスチャーやソフトフィール効果(しっとりとした柔らかな指触感)を持った塗料を開発し、対応しています。
当社としては様々な要求に対して、最適なワックス添加剤を推奨して、テクスチャーやソフトフィール付与することを付加価値製品開発の基本スタンスと考えてします。


例えば、非常に粗い粒子シリーズのCERAFLOUR 913, 914, 915, 916はストラクチャーおよびテクスチャーの形成に有効です。加えて粒子径が粗くなると、ソフトフィール効果も得ることもできます。微細なワックス粒子ではこれらの効果を付与することができません。図2にワックスの作用機構を示しました。ワックスの粒子径がフィルム膜厚より大きい場合には、ワックス粒子はフィルムの中と表層に存在します。そしてフィルムの表層に存在するワックスが機能を発現します(浮上理論)。フィルム膜圧が粒子径より薄い場合は、フィルムからワックスの粒子が突出しています。その突出した部分が外部からの接触に関与して、性能を発現するベアリング理論があります。また、他のつや消し剤に比べてワックスを添加したとき、塗膜中に均一な粗面を形成できることもワックス製品の特徴になっています。


ワックス添加剤の作用機構

ソフトフィール用ワックス添加剤

これらの製品はテクスチャーとソフトフィール効果を同時に持たせることが可能です。もちろん、上記の4製品を単純に後添加で混合して希望のテクスチャーに調整することもできます。

PTFE含有マイクロナイズドワックス
最近ますます、耐スリ傷性もしくは磨耗性の要望が高まってきたように感じられます。
ナノ粒子を用いたり、ポリエチレンをベースにカルナバワックスを併用したアロイタイプのワックスなど様々な製品を上市していますが、分野によっては依然ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をベースにした製品が一番効果を発揮するケースが多くみられます。
当社では新たに2つの製品を追加しラインアップを強化しました。(再生ではない)純PTFEの汎用タイプとしてCERAFLOUR 981と、ポリエチレンとのミックスタイプのCERAFLOUR 997です。これらは耐スリ傷性付与のニーズに応えた製品であり、今後とも当社では本シリーズを充実していく方針です。ご期待下さい。


BYK company profile:
BYKは塗料、インキおよびプラスチック業界で使用される添加剤では、世界的なリーディングサプライヤーの一つです。添加剤は塗料、インキおよびプラスチックの製造工程で使用され、製造工程を最適化し、最終製品の品質、外観を大きく向上させます。BYKでは、湿潤分散剤、スリップ性、レベリング性を向上させる表面調整剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤をはじめ、
ナノテクノロジーを応用した添加剤、ワックス添加剤等を取り扱っています。