子供の頃はその長さだけでワクワクした夏休みも、大人になれば1カ月なんていう期間はアッという間。「歳をとると時間の経過が早いなぁ」と多くの人が感じているこの感覚を、19世紀のフランスの学者・ジャネーが心理学で説き明かしている▲「ジャネーの法則」によると、例えば50歳にとっての1年は人生の50分の1だが、5歳の子供にとっては人生の5分の1。そう考えると50歳の1年は5歳の10年に相当、だから歳をとるほど心理的に1年が早く感じるのだという。何だか煙に巻かれたような話だが、年齢による時間感覚の変化は実感として分かる▲未経験のことをしているときは、それが強く印象に残るので人は時間を長く感じるという。まだ知らないことが多く、毎日が新しい発見や経験に包まれている子供に対して、経験知で済ませる癖がついた大人。マンネリな日常を送るほど時間の経過がどんどん早くなるということらしい▲同じことは業界や企業にも当てはまる。市況の停滞に抗う新機軸を打ち出せないでいると、需要縮小のスピードは一気に速まる。時間を引き延ばすには冒険や挑戦が必要だ▲夏真っ盛りとはいえ、暦の上では立秋を過ぎ今年も残すところあと4カ月を切った。ぼーっとしているうちにアッという間に1年が過ぎる焦りは、個人も企業も同じ(K)