建築塗料分野の特集を控えて取材に回る中で面白い言葉を聞いた。「リーサルウェポン=lethal weapon」。"最終兵器"的な意味合いでよく使われる言葉だ。ここにきて建築分野で発売が相次いでいる「無機系塗料」のことを指しており、市場を制する最終兵器とのニュアンスが含まれている▲リーマンショックを境に塗料需要が激減した国内市場の中で、建築塗料分野の健闘が光っている。ウレタン、シリコン、フッ素というように量の縮小を塗料グレード(性能)のアップでカバーし、販売金額はむしろリーマン前よりも上回り始めている。需要縮小を前に「量から質への転換」を果たした優等生と言えるかもしれない▲が、やはり落とし穴はある。塗料性能のアップは次の塗り替えへの周期を伸ばすわけで、普通に考えると需要の先食いを意味している。人口が減り、おそらく建物も減っていく縮小社会の中で、なお性能アップを目指す術しかなければ、いずれ、どこかの時点で需要は激減することになる。縮小社会が求めるであろう心の豊かさや暮らしの質に早くベクトルを合わせたい。そろそろ本気で「色」を価値にしていかないと▲ちなみに「lethal(リーサル)」を辞書で引くと「致命的な」という訳が出てくる。無機系塗料が文字通り市場にとって致命的な武器にならなければいいが(K)