東京・恵比寿にある東京塗料会館が、1階ロビーと地下に入る階段部分のペイントリノベーションを行い、報道陣に披露した。製販装が取り組む塗料・塗装普及活動の一環で、業界内外の関係者とのヒアリングを通じ、導き出したのがデコラティブペイントの技法を駆使した塗装デザインの発信。装飾塗装を手がけるフォーアーツデザインのヨザン弥江子氏が日本の文化を組み合わせたデザインを設計し、日本塗装工業会の技能委員会のメンバーが仕上げた▲ロビーに入ると、調和された配色に大胆な模様や絵柄があしらわれ、白を基調にしたロビーが一新。天井ドームに描かれた月が照明効果とあいまって、塗装された空間であることをしっかりと印象づけている。見学に訪れたある塗装会社の経営者は、細部に行きわたる繊細な技法に目を凝らし、「とてもじゃないが、我々のスタッフではできない仕事。でも見ているだけでワクワクしてくる」と、自社の展望にヒントを得たという▲最近、取材活動の断片から感じるのは、塗装とアートの距離の近さ。また、そうした動きに敏感に反応しているのは、需要家よりもむしろ業界側。技能を広げることに可能性を捉えている。塗料・塗装の普及という遠大なテーマの道筋は、"ワクワク"を駆り立てる内なる力に基点がありそうだ(R)