「色」は言葉で伝えにくいものの代表格と言えるかもしれない。一口に「赤」といっても思い浮かべる「赤」は人によって千差万別。リンゴや消防車、夕陽などに例えても、互いのイメージがピタリと合うことはまずない▲例えば住宅の塗り替え工事。「思っていた色とちがう!」と客とトラブルになることも頻繁で、「色はやっかい」と避けたがる施工業者は多い。「色」を楽しむことも塗装の魅力のはずなのに、カラーコミュニケーションの難しさがそれを削っている▲今年4月、東京・としまえんで開かれた大塚刷毛製造のマルテー祭で国内初登場し、飛ぶように売れた商品がある。「CUBE」というオーストラリア製の簡易測色ツールだ。輸入販売会社が当初仕入れた2,000個が瞬く間に完売、このほどようやく再入荷した▲パソコンのマウスを箱型にしたような小ぶりの測色機で、色を測りたいものの表面に置き、タップ操作1つで現物の色を測色する。専用アプリでスマホとつながっており、測色したデータが即座に画面に現れる仕組み▲中でもマルテー祭の来場者が反応したのは日塗工色見本帳との連動だ。一番身近な色見本帳とつながったことで「仕事に使えるかも」と直感し、その場で購入する人が続出した。現場の最前線はカラーコミュニケーションの問題解決に飢えている(K)