今月1日に「安心R住宅」という中古住宅の流通促進に向けた制度が施行された。一定の耐震基準を備え、性能など必要な情報が開示されている中古住宅に「安心R住宅」のロゴを付与し、消費者が安心して購入できるようにするのが目的▼その認定要件に「『汚さ』を払しょくするリフォーム工事が完了しているか、費用情報を含むリフォーム提案書があること」と明記されている。性能が分からないことへの不安とともに、『汚さ』が中古住宅の購入を阻んでいる要因とし、その解消を盛り込んでいる。業界的には「汚さの払しょく=塗り替え需要の増加」と単純な期待が膨らむ▼今年の春、本紙主催のアメリカ視察ツアーで住宅事情の一端を見てきた。住宅流通の8割以上が中古売買というアメリカでは、「売るとき」のために常に家の美観を保っておく必要があり、内外装の塗り替えが頻繁に行われている。暮らしに近接しているアメリカのペイント文化の根底に、中古住宅の流通が横たわっていることがよく理解できた▼『汚さ』の払しょくを盛り込んだ「安心R住宅」の施行で塗料・塗装の需要増を期待したいところだが、中古住宅の流通そのものが中々動き出さない。お仕着せの制度では響かない消費者がいる。上からの制度か、下からの文化か、その違いが彼我の間にある(K)