一般的に、最終顧客(エンドユーザー)のことを「消費者」や「生活者」などと呼ぶことが多い。この2つの違いについてふと疑問が湧き、ググってみた▲商品やサービスの販売対象としての「消費者」に対して、消費を含めた日々の暮らし、生活という観点から人を捉えたのが「生活者」ということらしい。単なる販売シーンを超え、自社が提供する商品やサービスが生活全般の中でどのような価値を持つかを探り、購買に誘導する対象。消費が成熟し、モノが売れなくなり始めた90年代から広まったマーケティング用語のようだ▲今月9日に開かれた日本塗料工業会の賀詞交歓会で、田堂哲志会長のあいさつの中に「生活者」という言葉が何度か出てきた。1つは内装需要開拓の話の中で塗料の魅力を伝える対象として、もう1つは遮熱塗料を生活者が選択しやすくするために業界基準づくりを急ぐとその言葉を用いた。「生活者」市場開拓への思いを感じさせる▲塗られている箇所や物は身の回りにあふれているのに、生活者にほとんど意識されることのない塗料という存在。だからこそ暮らしの中での意味合いを書き換えて魅力化することができれば大きく飛躍するポテンシャルを秘めている。ある意味、フロンティア(未開の地)がこれほど残されている産業はないのかもしれない(K)