入社式のシーズンである。式に向かうであろう若い人たちの姿を多く見かけるこの季節。緊張と期待の入り混じった面持ちを、まだぎこちないスーツ姿の上に乗せて歩く様がなんだかいい▲入社式は、そんな若い人たちに企業の風土や精神を伝え、夢を与えて会社や仕事への忠誠を高めてもらう絶好の機会。働き手が減っていく社会の中では、入社式は単なるセレモニー以上の意味を持ち、緊張感はむしろ企業側の方が強まっているのかもしれない▲先週、京都の清水寺で大阪の建設塗装会社・竹延グループの入社式が行われた。1,200年を超える寺の歴史の中でも入社式を行うのは初めてのことだという。「自分が日本一だと思っているお寺で新入社員たちの門出を祝ってあげたい」。人材育成、職人の技術・技能の継承に心血を注ぐ竹延幸雄社長の思いが寺側に伝わり、歴史を開いた▲一般の参拝者が入れない内陣で祈祷を授かった15人の新入社員たち。竹延の揃いの法被をまとい、仁王門前で清水寺の森清範貫主を囲んで記念撮影。最後に職人会社らしく手締めで行事の無事終了を祝った一連の入社式に「なんか、すごいですね」と高校を出たばかりの新人君。言葉にできない感動に頬を紅潮させている▲人の心を高ぶらせるのは会社の規模や仕事の内容以上に、やはり経営者の熱意(K)