嫌な言葉が広がりそうである。「人手不足倒産」。東京商工リサーチなどの調査会社が定義づけた言葉で、文字通り働く人が確保できずに事業の継続を断念せざるを得なくなったケース。今年は9月までに299件に上り、1年間で400件前後に達する勢いだという。集計を始めた2013年以降で過去最高を更新しそうだと各マスコミが伝えている▲「常に人の募集をかけているのに、反応が全くない」と異口同音に塗料ディーラーで聞く。「反応がない」ことに慣れてしまって有効な対策ができないままズルズル。既にぎりぎりの人員でなんとかしのいでいる中、定年や離職で現有の社員が辞めてしまうと事業が立ち行かなくなる「人手不足倒産予備軍」が予想以上に増えていそうだ▲人手不足対策で、シルバー層や外国人労働者の活躍、AIやロボットの活用などが期待されているが、塗料販売業務に関してはマッチしそうにない。煩雑すぎて慣れることに時間を要し、デジタル化もできない業務内容がそれらを阻む▲まあ、塗料の品種や性能・機能がこれだけ細分化している国も世界では珍しい。それらをハンドリングし、顧客ごとにコーディネートしてきた能力はある意味スペシャルなもの。そのスペシャル感を仕事の魅力や対価にどのように反映できるか、いや反映させるしかない(K)