私事ながら、4月1日付のこの新聞が発行された日、本来なら沖縄旅行をエンジョイしているはずだった。娘の卒業を記念して半年も前から沖縄に家族旅行を計画。「どこに行こうか」「何を食べようか」「もう海に入れるかなぁ」。日が近づくにつれてテンションが上がる娘に水を差したのは、言うまでもなく新型コロナウイルスである▲全国一斉休校で友達との別れを突然強いられ、卒業式はなんとか行えたものの親の参加は叶わず晴れ姿も見てもらえない。せめて卒業旅行だけでも楽しませたいと直前まで粘ったものの、結局キャンセルに追い込まれた。外出自粛の強い要請、都市封鎖も現実味を帯びたご時世に、「旅行を楽しんでいられる雰囲気じゃない」と家族の気持ちが削がれ、沖縄旅行は蒸発してしまった▲と、そんな些事を惜しんでいるほど悠長ではないと叱られそうな情勢になってきた。日々、乗数的に増える国内の感染者数、ロックアウトされた海外の都市の光景、商品が消えたスーパーマーケットの棚...。そうした現実を目にしながら、どれほどの危機感を持てばいいのかまだ測りかねている自分。平和ボケしたこの感覚が現代社会の本当の病巣かもしれない▲それにしてもこのコロナ騒動、「ぜんぶ嘘でした」と切に騙されたい今年のエイプリルフールである(K)