慣例が崩れるとどうにも調子が狂う。業界団体や企業の新年賀詞交歓会が重なるこの時期、その取材に忙しく飛び回っていたが今年はパタリとなくなった。リズムに乗れない年明けである▲コロナ禍で軒並み中止となった業界の新年賀詞交歓会。会場で知った顔を見かけて挨拶を交わし、二言三言の会話の中からビジネスのヒントや業界のムードを感じ取っていた人も多いのではないだろうか。行事自体、慣例的な虚礼と見る向きもあるが、なくなって改めて見えてくる良さもある。慣例を見返すいい機会なのかもしれない▲これも慣例が崩れて困っているケースである。そろそろ次年度の予算を立てる時期に差し掛かっているが、何を基準に売上目標を立てればいいか分からないとメーカーの担当者。前年の売上実績に新年度の見込みや予想を加えて目標数字を立てていたが、その慣例が通じない。予算立ての基準となる今年度の業績自体がコロナ禍で大きく狂っている上、年明け早々の緊急事態宣言再発令で先行きが更に不透明になった。どの企業にとっても状況は同じだろう▲考えてみれば今回のコロナ禍はもちろん、異常気象による自然災害の頻発などビジネスを阻む異例な事態そのものが今や慣例となった。ウイルスだけでなく"異例"への耐性も強めなければ(K)