「腰が痛い」「肩こりがひどい」「腕が上がらない」...塗装現場のハードな作業に従事しているうちに、いつの間にか宿ってしまった慢性的な痛み。いわゆる「職業病」である▲この「病」がやっかいなのは、「この仕事に就いている以上仕方がない」「みんなだって我慢して仕事を続けている」と諦めさせてしまうところ。そうして無理を続けているうちに身体が悲鳴をあげ、ついには休職や退職に至ってしまうことも。「それは、社員にも会社にとっても不幸なこと」と、ユニークな視点で改善に取り組んでいる企業がある▲島根県松江市の塗装会社・長岡塗装店は、健康経営支援のベンチャー企業Canvas(松江市)の指導で、職業病解消のワークショップを実践した。Canvasの作業療法士や理学療法士と一緒に塗装作業の動作分析などを行い、痛みの根本治癒に向けて科学的にアプローチ。個人ごとのストレッチやセルフチェックの方法を学び、日々の習慣に落とし込むことで効果てきめん、「身体の不調で休む社員が目に見えて減りました」(長岡塗装店・古志野純子常務)と職業病が解消へ向かった▲それによる労働生産損失額(140万円)が解消されたばかりでなく、「会社の中が以前にも増して明るくなった」(同)と、「からだ」と「こころ」の健康経営を実践、手法が光る(K)