「コロナ禍をきっかけにして情報の取り方が変わった」――この1年、取材をする中で方々からこうした声を聞いた。情報を欲する主体はユーザーや発注者であったり、学生であったりとさまざまだが、以前にも増してネット活用が強まっているとの感覚を持つ業界企業は多い▲ウェブセミナーの開催だけでなく、ホームページのリニューアルやSNS戦略の見直しといった情報発信の積極的な動きが目立つ。今後、既存のビジネス商流を"飛び越える"くらいのプロセス変化が起こるかもしれない▲先日、長野県の塗料商社のNCCのインスタグラムに海外の材料メーカーからDMが来た。『面白い情報発信をしているから、うちの製品を広めてもらえないか』との内容。英文であったことやその真偽も考えて最初は"スルー"したそうだが、その後商社を通じて改めてオファーがあったという▲「本来なら新しい取引の開始は社長や役員が主導するのに今は違う。情報を発信する人が得る人になっている」とNCCの原田学社長は変化を捉える▲塗装はモノづくりの最終工程のため施主や発注者との距離が遠く、コミュニケーションが取りにくいこともあった。意思疎通を図れば解決できる問題もあるとするならば、アプローチしたい相手との接点作りの重要性は増している(T)