「値上げの影響だろうか、商品(建築用塗料)の荷動きがよくない」と、先日訪ねた塗料会社の役員。要因を探ろうと懇意にしている塗装店に電話を掛けたところ、こんな答えが返ってきたそうだ▲「リンゴの値段が2割も上がると、大事に皮を剥くようになるでしょ。それと同じこと」との回答に合点がいった。値上げによって1人ひとりのユーザーが以前にも増して材料を無駄なく使うようになり、それらが積もって出荷量の減少に反映していたのだと▲同じような話を副資材のサプライヤーでも聞いた。特にマスキングテープやマスカーでその傾向が顕著だそうで、「これまでだったら捨てていた半端な長さのテープやマスカーも余さず使い切るようになっている」と、こちらもユーザーの行動に変化が表れている。これらの節約志向、値上げによる一時的なものなのか、はたまた恒久的なものなのか注視する必要がありそうだ▲「量り売りをしてくれる塗料メーカーを知らない?」。先日、読者(塗装店)からそんな問い合わせがあった。なぜ、必ず廃塗料が出てしまう一斗缶や4㎏缶での販売しかないのか。「産廃のコスト負担よりむしろ、環境への後ろめたさから塗料の廃棄量を減らしたい」のが、量り売りを探している理由だという。節約の質にも変化の兆しが出てきた(K)