第1位
塗膜形成技術で航空機燃費削減へ
オーウエル

塗料商社のオーウエルはJALとJAXAと共同で航空機の機体表面にリブレット形状(微細な溝構造)を施す技術の検証を行った。機体表面の渦流れを制御することで摩擦抵抗を低減でき、その結果、燃費が改善しCO2排出量の削減に寄与する。航空機で実績のある塗料をリブレット化することで、航空機に求められる塗膜性能を担保。更に水溶性モールドを使用することにより、精度の高い微細形状を形成する。

第2位
塗装コスト計算アプリを開発
タクボエンジニアリング

タクボエンジニアリングは、ティーチングアシスタントソフトウェア「スワニスト」の新機能として塗装コスト計算アプリを開発し、6月から運用を開始した。塗装条件及び設備条件の入力により、ワーク1個当たりの塗料コスト、設備コスト、ユーティリティコストを同時に算出することができるのが特長。塗料価格、使用量、稼働時間などを加えることで塗装コストを瞬時に算出することができる。

第3位
エクソソーム簡易評価キットを開発
大日本塗料/島津製作所

大日本塗料と島津製作所は、「Exorapid-qIC細胞外小胞用イムノクロマトキット(CD9)」を開発し、7月25日から販売を開始した。同品は、細胞外小胞(EVs)の一種であるエクソソームの検出を低コスト、短時間(45分)で可能にしたのが特長。エクソソームは、分泌元の細胞に由来するさまざまな情報を含むことから、ガンの早期診断など医療・美容分野への応用が期待される。

第4位
業界初の低炭素対技術応用塗料
菊水化学工業

6月、菊水化学工業は低炭素対応型塗料「水系ファインコートフッ素BMBシリーズ」及びジオポリマー塗材「ジオアースシリーズ」を発売した。CO2排出削減技術のバイオマスバランス(BMB)とジオポリマー技術を応用した業界初の塗料と塗材。特にBMB応用塗料は、塗料からのCO2排出削減を可視化できることから建物の設計時に優位性を発揮。低炭素な建物づくりの気運を背景に訴求を強める。

第5位
自補修用新型水性ベースコート開発
イサム塗料

イサム塗料は6月、自補修用新型水性ベースコート「CRONOS HD」を投入した。ウェットオンウェット塗装による1発仕上げを可能にし、加熱及びエアーブローに伴うインターバルの時間を従来(水性)の2回から1回に削減した。これにより作業者がブースに拘束される時間を約20%削減、作業者の負荷低減に寄与する。先行上市する水性ベースコート「AXUZ DRY」との併売展開も関心を呼んだ。

第6位
水素燃焼による熱風発生装置開発
HET

バーナや塗装乾燥炉の製造・販売を行うヒートエナジーテック(HET)は、東京ガスと共同で水素燃料を活用した熱風発生装置「AH-NMH2」を開発した。水素燃料のためCO2が発生せず、塗装乾燥工程のCO2削減効果が期待できる。同品は100~300℃の温度帯の塗装乾燥工程で使用されることを想定。燃焼しやすい水素を空気の出し方をコントロールし緩慢に燃焼させることで、燃料と空気の混合を最適化した。

第7位
安価で変色しない抗ウイルス新材料
日本ペイントHD

日本ペイントホールディングスは東京大学との共同研究で、プロトン型ゼオライトがインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスに対して優れた不活化効果があることを発見した。これにより、将来的に安価かつ変色しない抗ウイルス材料としての利用が期待される。プロトン型ゼオライトとは水素イオンが固定されたゼオライトのことで、抗菌や抗ウイルス材料として使用されている。

第8位
硬質ウレタン塗料のバイオマス化
東日本塗料

東日本塗料は硬質ウレタン型塗料のバイオマス化を業界に先駆けて開発した。バイオマスマークを取得し「フローンフルトップBio」として塗り床市場向けに販売を開始した。バイオマス原材料を35%含有しており、硬質ウレタンタイプのバイオマスマーク取得は塗料では初。「植物由来原料に起因するところだが、従来タイプよりも割れにくく強靭性がある」として、食品工場などさまざまな床面に展開する。

第9位
積荷耐性向上、カーゴタンク用塗料
中国塗料

中国塗料はポストキュア型エポキシ樹脂系カーゴタンク用塗料「エピコンT-2000」を開発。塗膜硬化後の熱処理により高架橋密度の塗膜を形成し、メタノールをはじめとする低分子量の化学品などのアグレッシブカーゴに対する高い耐久性を発揮する。耐薬品性を向上させ積載可能な積荷の拡大を実現しており、メタノール以外にもさまざまな代替燃料に対応が可能。従来品と比較し積載範囲が28%向上する。

第10位
防カビ評価試験法を開発
水谷ペイント

水谷ペイントは、金沢工業大学と防カビ評価試験法「菌糸侵入距離法」の共同特許取得を発表した。同法は、寒天培地上に塗板を置き、塗板表面にカビを減菌したつまようじなどで植菌、培養し、塗板表面に侵入し菌糸の距離を計測して評価する測定法。従来手法と比べ、複数の評価が同時に行え、操作が簡便といった特長がある。特許取得日は令和30年10月5日だが、有用性の高さから発表に至った。

番外編
"スマートラボ"技術開発センター開設
パーカーエンジニアリング

パーカーエンジニアリングは、千葉県船橋市に"スマートラボ"となる技術開発センターを新設した。粉体塗装システム、溶剤塗装システム、乾燥炉、前処理装置を揃えて、塗装においてトータルで実験できる環境を揃えた。各種設備にはIoTシステム「PARKER LEAPS(パーカーリープス)」が完備されており、リモートでのテストが可能。ラボの稼働状況と連動したカメラ映像を記録できる。