第1位
塗料販売全国3,000店割り込む
令和3年塗料卸売業統計

総務省は3月、2016年以来5年ぶりとなる「令和3年経済センサス-活動調査」をまとめた。その結果、塗料卸売業の年間販売額は、2016年比5.1%増の1兆8,829億5,900万円、商店数は332店減の2,793店となった。商店数は平成9年以降、過去最低を記録。塗料店の減少傾向を顕著にした一方で、販売額は増加傾向を示した。総従業員数は、118人減の2万2,007人、平均従業員数は、7.1人から7.9人に増加した。

第2位
初の売上収益1兆円超え
日本ペイントHD

日本ペイントホールディングスの2022年12月期の売上収益が1兆3,000億円となり初めて1兆円の大台を超えた。営業利益も1,000億円を突破し、売上収益、営業利益とも過去最高を計上した。若月雄一郎共同社長は「強固なオーガニック(既存事業)の成長と価格ミックスが寄与した」と製品値上げの浸透とマージン改善に手応えを示した。来期は売上収益約1,000億円増の1兆4,000億円を狙う。

第3位
国交省、建設技能者の年収モデル公表
職人の賃上げに向けた動き加速

6月、国土交通省は建設技能者の職種別・レベル別年収モデルを公表した。建設キャリアアップシステム(CCUS)における職種別、レベル別年収モデルを策定したもので、レベル1相当の見習工は499万円、基幹技能者相当のレベル4では703万円などの年収モデルが公表された。担い手不足の深刻化から建設技能者の処遇改善が急務となっており、職人の賃上げに向けた動きが加速しそうだ。

第4位
塗料マイスター制度始まる
受検応募1,200名超える

日本塗料商業組合の塗料マイスター制度が2024年1月にスタートする。同制度は、塗料販売店社員のスキルアップと社会的価値向上を目的としたオリジナル検定制度。初級「スタンダード」、中級「アドバンス」、上級「マイスター」のグレードを設けた。まずは1月下旬に実施する「スタンダード」の受検者募集を11月に行ったところ1カ月で1,200名を超える受検希望者が集まり、関心の高さを示した。

第5位
安衛法改正、リスク伝達を強化
個別管理から企業の自律的管理へ

4月、労働安全衛生法が改正された。特化則など個別の化学物質を中心とした仕組みから事業者自らによる自律的な管理を基軸とした点が大きな改正ポイント。具体的には、国のGHS分類により危険性・有害性が確認されたすべての化学物質(段階的に最大2,900物質まで拡大)に対して、事業者はラベル表示・SDS公布による伝達、暴露濃度基準以下、暴露低減措置などが義務化された。

第6位
賃貸住宅の内装、塗装にシフト 
CO2排出削減で明確なメリット

賃貸住宅の室内の原状回復工事で塗装が広がりそうだ。インテリアペインター協会(本部・福岡県北九州市)が確立した塗装による原状回復「クロスカラーリングサービス」は、従来の塩ビクロスの張り替えに比べてCO2の排出量を大幅に削減。7月、同協会、専用塗料供給の関西ペイントブラーノ、不動産大手の三好不動産の三者で環境負荷低減型原状回復事業がスタート。内装塗料需要拡大の契機になりそうだ。

第7位
大型展示会、フェアが活況 
コロナ明けで賑わい取り戻す

コロナ禍が落ち着き、業界企業による大型の展示会やフェアの開催が相次いだ。2月・好川産業の「近畿マルヨシフェア2023」(大阪)、4月・大塚刷毛製造の「マルテー祭」(大阪)、同・大井産業の「大の市」(福岡市)、11月・ニシイの「2023未来創造展」など、数千から数万人を集客する大型の展示会やフェアが本格的に再開。コロナ明けの市場活性化に向け、アクセル全開を印象づけた。

第8位
日本発、塗料店が百貨店に常設出店 
タカラ塗料が高島屋京都店に

12月、大阪市の塗料販売店・タカラ塗料が京都高島屋S.C.の専門店ゾーンに常設で出店した。塗料販売店が百貨店内に常設でテナント出店するのは国内初。「刷毛とローラーで車を全塗装しよう」など、塗料や塗装を人気のDIYコンテンツに仕立てた同社に髙島屋サイドが注目、異例の出店要請となった。百貨店の中でどのような塗料ビジネスが成り立つのか、業界の期待も高まっている。

第9位
本社オフィスを2カ所に移転
関西ペイント

関西ペイントは12月下旬、大阪市中央区今橋にある本社オフィスを梅田と新大阪の2拠点に移転した。災害時における堅牢性の確保とセキュリティ強化を目的としたもので、コーポレート機能を有する部門を「グローバル本社」(梅田)、セールス機能を有する部門を「新大阪フロント・オフィス」と名付けた。関西ペイント販売、カンペハピオ、カンペ商事は、新大阪フロント・オフィスに移転した。

第10位
簡易補修用スプレーが注目 
人手不足背景、点検時に補修可能

社会インフラ維持管理で簡易補修スプレーが相次いで上市されている。4月発売の大日本塗料「サビシャットスプレー」を始め、日本ペイントは「タフガードリペアスプレー」を展開。またこの分野では先行販売している日新インダストリーの「変性エポスプレーNEXT」も好調に推移。人手不足を背景に、橋梁などの点検時に作業者自身で簡易補修できるスプレータイプに関心が高まっている。

番外編
塗料だけに特化した展示会が好評 
ささき「Good Paint EXPO」

11月、秋田県の塗料販売店・ささきは"塗料だけに特化"した展示会「Good Paint EXPO」を地元会場で開いた。塗装用具や副資材の即売はなく、塗料だけに特化して展示。安全安心、健康、快適などコロナ禍を経て変化した市場ニーズに響く塗料の出品を出展メーカーに要請。「塗料の進化やビジネス性を改めて知ることができた」と塗装店などの来場者に好評で、塗料の情報を伝える販売店の役割を再認識させた。