工業塗装専業者の筒井工業はコンサルティング事業を積極化している。前島社長が自らコーチング技術を学び、自社で運用し積み上げたノウハウを研修として提供している。事業化した経緯やコーチングの重要性を聞いた。
――コンサルティング事業を立ち上げた経緯を教えてください。
「2021年のはじめにコンサルティング事業を立ち上げたのですが、学びのスタートは2020年で、1年かけてコーチングスクールに通いました。ちょうど働き方改革の取り組みがひと段落した頃で、『会社が未来永劫成長できるのか』『我々にとっての価値観が足りないのではないか』と感じていました。つまりは働き甲斐というエネルギーです。当社はオーナー企業ですが、社長の私はプロパーですし、今後もこの形式が続く前提とすると、社員に『自分たちが繋いでいく』という気持ちになってもらわないと会社の成長はありません。繋いでいきたい会社とはどんな会社かと考えたときに、エネルギーがあって一体感があってお互いを認め合って高め合う場ができてこそ、この場を続けていきたいとなると考えました。そういうイメージがあったので、働き甲斐改革へとなりました」
――働き甲斐を実現するためにコーチングを学んだのですか。
「皆が働き甲斐を感じるために私は何ができるのかを考えて、いろいろ調べていたら、コーチングに至ったんです。アドバイスするのではなく、相手の願いや本質的なモチベーションを引き出す技術があると知りました」
――まずは前島社長が技術を身につけたのですね。
「そうです。そして学んだ技術を社内に広めたいと考えました。そのために講師の資格を2020年に取得して、社内に広めると同時に、同じように困っている現場をサポートできると考えて事業化に至りました」
――実際、現場ではどのような変化が見られましたか。
「かつては面談をやっても、覇気がない、自分の意見を言えない、自信がない、斜に構える、そういう人が活き活きとなり、自ら意見を言うよう変わっていきました。本当はやりたいことがあっても、会社の雰囲気の中で枯れていったということなんです」
――具体的な取り組みとしては。
「2020年9月に全社員で会社のミッションやビジョンを再構築するプロジェクトを立ち上げました。そのプロセスで、ファシリテーターが必要となり、それを私がやりました。そこでコーチング技術が生きました。『本当はこうしたい』を引き出す技術なので、対個人だとコーチングであり、対全体だとファシリテーションとなります。プロジェクトメンバーがみんな前のめりになっていきましたね。最初の1、2年でかなり変わりました。劇的な変化です。昔の社内の様子を良く知っている人たちからは別の会社みたいと言われます」
――コンサルティング事業の最初の活動は。
「当社では人を採用して定着することを仕組み化したので、それを伝えようと考えました。まず取引先にPRして進めたのですが、すぐに違うと気づきました。なぜなら中小企業で仕組みを入れ込むと困るのは現場なんです。現場がやらされるんです。現場はそんな新しいことに取り組むエネルギーはないです。なので、先にやらないといけないのは風土改革です。みんなのエネルギーをどうやって上げていくかが"1丁目1番地"と気づきました。そこでまず会社の風土を変えるためのコミュニケーション技術を学びましょうとアプローチを変えました」
――最初の顧客は。
「第1号は取引業者さんでした。社長さんが気に入ってくれてコーチング研修の販売という形です。そこから1~2年はぽつぽつとしか売れなかったのですが、愛知県のイベントに登壇する機会があり、当社の人材の取り組みについて講演したところ、そこから広がっていきました」
――講師の機会は多いと聞きます。
「講演は年間に10本くらい依頼を受けて行っています。それがコンサルティング事業の集客にもつながっています。コンサルティング事業の現在の契約は5社くらいです。一定期間サービスを行うと少し期間を空けたりするので時期によって増減の変動はあります。最近はコミュニケーション技術を教えるだけでなく、組織の活性化をサポートしたり、組織としてのミッション・ビジョンの構築をサポートしたりと幅が広がっています」
――現在の事業の体制は。
「コンサルティング事業は専任の3人体制です。全員もともと現場にいた人です。我々の強みは製造現場を肌感覚で分かっている人だからこそ、同じような悩みを抱える方をサポートできること。塗装会社や販売店の実績もあります。社内からの声もあって、2030年までに売上規模を今の5倍、10倍にする目標を掲げています」
――コーチングの重要性とは。
「コーチングとは人事考課制度とか若手が入って定着する仕組みとかを動かすためのエンジンやエネルギーなんです。仕組みが機械だとすると、エネルギーがないと機械は動きません。両方が大事なんです。多くの会社は仕組みだけしか取り組んでなくて、仕組みでエネルギーを起こそうとしても無理です。そこの価値があまりにも分かりにくいので、仕組みばかりやろうとして失敗してしまう。エネルギーは人間の根源的な心や思いから来るものなので、そこにアクセスする方法としてコーチングがあります。学ぶときにはコストはかかるが、そのあとは自動に動き出します。そこまでを我々がサポートします」
――ありがとうございました。


