「誰もが無料で見られる壁画に可能性を感じる」と80日間にわたり壁画を描き続けたのは、3人のアーティスト(高須咲恵さん、松下徹さん、西広大志さん)で作品活動を行うSIDECORE。6月9日に閉幕した現代アートの国際展「第8回横浜トリエンナーレ」で高さ15m×幅60mに巨大壁画を制作した。日本ペイントが「HAPPY PROJECT」の一環として協力した。
3年に一度開催される「横浜トリエンナーレ」は、「現代アートの良質な入門編」になることを目標に2001年にスタート。国内外から93組のアーティスが参加し、「野草:いま、ここで生きてる」をテーマに作品を披露した。
テーマの"野草"は、魯迅の詩集『野草』を題材にしたもの。1911年の辛亥革命後に綴った魯迅の心情と新型コロナウイルスによるパンデミックから回復に向かい始めた世界情勢を重ね、"新機軸を打ち出す志"をテーマに込めた。
会場は、魯迅の書の章立てに添うかたちで7つのカテゴリーに分かれ、SIDECOREは「今ここで生きてる」を担当。作品のキーワードを「キャンプ」とし、レジャーや難民など多様な"キャンプ"を表現した。
巨大壁面はSIDECOREとしても初めての経験で高所作業車を扱いながらの作業。日々デザインを変えるアイデアについて西広さんは「街にノイズ感のある絵があることで変化を感じてもらえると考えた」と説明。高須さんは「絵画に興味のある人もない人も無料で見られる壁画に可能性を感じた」と感想を述べた。
塗料は、日本ペイント「オーデフレッシュU100Ⅱ」を使用した。