"宮古ブルー"に映えるペイントカラー

沖縄・宮古島市内から車で約30分。のどかな林道を抜けると鮮やかな色に彩られた建物が目に飛び込む。"HARRY'S SHRIMP TRUCK"(以下HARRY'S)。ガーリックシュリンプの人気店で黄色いスクールバスとエメラルドグリーンのテラスが旅行気分を増幅させてくれる。宮古島の自然と調和した大胆な色使いの経緯を知りたく、オーナーの大槻圭将氏に話を聞いた。


HARRY'Sがあるのは、宮古島の北端。"宮古ブルー"と称される美しい海と池間島、巨大な風車が臨める西平安名崎展望台の近く。宮古島と池間島を結ぶ池間大橋の手前で分岐する一本道を進むと鮮やかな色に彩られたスクールバスと建物が目に飛び込む。強烈な日差しが降り注ぐ宮古島の空と木々に調和した配色が印象的だ。

サトウキビ畑を切り拓いたという敷地には、青々とした芝生とアメリカ・シアトルで買い付けたオレンジ味の強い黄色のスクールバス、通りからスクールバスに続く土系色の舗装のコントラストが鮮やかに映える。更にそこに一際存在感を放つのが、白をアクセントカラーにエメラルドグリーンに塗られたテラス。ティールともピーコックグリーン、ターコグリーンとも称される色だが、宮古島の青々とした空と緑に調和する色選びにこだわりを感じた。

そこで筆者は、HARRY'Sに問い合わせる前に色のスペシャリストである山本通産色彩創造センターの河﨑尚氏とエスケー化研カラーコーディネーターの寺崎誠三氏の2名にHARRY'Sの配色について見解を聞いた。

河﨑氏は「空のブルーと大地のグリーン(芝)をつなぐ色としてティールが効いている」と講評。寺崎氏は「宮古島の湿気のないカラッとした気候にこの爽やかで若々しいグリーンが風景と一体化し、都会では味わえない開放感を演出しています。宮古島の晴空とグリーン(G)、ブルー(B)系色の類似配色がグラデーション効果を生み出して心地良い美しさを感じさせています。更にホワイトのアクセントもスッキリと爽やかさをプラスしている」と解説した。

本場ハワイを彷彿させるガーリックシュリンプのテイストもさることながら、"色"の美しさを感じさせるカラーコーディネートも人気の要因と感じた。

ハワイの"スタバカラー"がヒント

国内ではあまり見かけない大胆な色使いの理由を知りたく、HARRY'Sに取材を申し入れた。対応してくれたのは、株式会社HARRY'S代表取締役の大槻圭将氏だ。

国内主要都市からの直行便増便や国際便の定期便運航開始から宮古島の観光客増加を見越した大槻氏は2020年2月、ガーリックシュリンプ店「HARRY'S SHRIMP TRUCK」をオープンする。

折しも新型コロナの感染拡大で出鼻をくじかれた形となったが、その後の自粛規制の緩和により、徐々に観光客が回復。そして「お客様にゆっくりと食事をして頂けるスペースを作りたかった」と2023年にコンクリート造のテラスを建設した。

このテラスを大槻氏と地元の協力者のDIYで完成させた点も興味深い。工事業者の見積もりが高額だったことが理由だが、大槻氏自ら材料を取り寄せ、配筋、型枠を作り、コンクリートの注入、打設を行った。塗装は業者に委託し、色はこだわりのエメラルドグリーンを指定した。

その色選びについて「ハワイ・マノアにあるスターバックスからインスピレーションを得ました」と大槻氏。テラス建設後は、更に同店の人気を押し上げ、夏のシーズンは、営業時間の11時から17時まで行列が途絶えることはないという。

あえて市内の中心部から離れた場所を選んだ理由について大槻氏は「人はストーリーのあるものに惹かれます」。観光客が宮古島に求めているものをグルメと空間デザインで演出したのがHARRY'Sだ。

そのためメンテナンスも念入り。新設時に高耐候性シリコン樹脂塗料を塗装したテラス外装は、現在も美観を維持する一方、アクセントの白は、「雨筋汚れなどが出るたびに塗り替えています」と説明。またアルミ製の支柱などの金属部は「放っておけば、あっという間に穴が空く」と毎月塗り替える徹底ぶりだ。来年には沖縄本島の読谷村に2店舗目をオープンする計画。

「壁や床を自由にアレンジしてバリューアップできる塗料・塗装は魅力に溢れています」と大槻氏。ペイントカラーを生かした次のストーリー作りに注目が集まる。



ティール色の外装色が映えるHARRY'S SHRIMP TRUCK
ティール色の外装色が映えるHARRY'S SHRIMP TRUCK
テラス2階から絶景が見渡せる
テラス2階から絶景が見渡せる

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