日本ペイントホールディングスと東京大学は、水性塗料に用いられる高分子の溶媒中での凝集挙動を分子レベルで可視化し、溶媒組成と高分子形態の関係を体系的に明らかにした。
環境負荷低減技術として開発が進む水性塗料においては現在、溶媒が蒸発する過程で高分子同士が絡み合い強固な塗膜を形成する一方、水に溶けにくい高分子が多いことから分散安定化のため有機溶剤を必要とせざるを得ない課題を抱えている。
そこで両者は、分子動力学シミュレーションにより高分子の運動を計算機上で追跡。水系、有機系、混合溶媒系の各環境における高分子の分散・凝集挙動の比較解析を実施した。
その結果、有機溶剤が高分子鎖の形態に与える影響を体系的に明らかにするとともに、高分子-溶媒間の相互作用が弱い場合は高分子は凝集しやすく、強い場合は分散が安定化する関係を突き止めた。更に水と有機溶剤の混合系では、有機溶剤が水中で相分離し、小さな有機リッチ層を形成することで、高分子がその領域に局所的に集まる様子も確認したという。
両者は、「水性塗料の塗膜形成初期段階における分散安定性、凝集機構の理解に直結するものであり、高分子-溶媒系の分子レベルでの設計に役立つ指針となる」と水性塗料設計の高度化に貢献するとしている。


