塗装作業の暑さ対策に水冷服を開発
新たな熱中症対策「OP水冷服」

塗装現場の暑さ対策に画期的な製品が登場した。熱中症対策用スーツの販売を行う大沼プランニング(本社・宮城県名取市、代表取締役・大沼敏男氏)は水冷式の暑さ対策用着衣スーツ「OP水冷服」の販売をスタートさせた。ベストに付帯されたチューブに冷水を循環させ、効果的に身体を冷やすことで熱中症の予防に効果を発揮する。塗装工場や炎天下の作業現場での熱中症対策アイテムとして全国に広めていきたい考えだ。


例年よりも長い梅雨が明け、暑い夏が本格的にやってきた。7月31日には35℃を越える地点が全国で100地点を超えており、今年も暑さの厳しい夏が予想される。厚生労働省によると平成30年の職場における熱中症での死傷者数は1,178名と平成29年の544名に比べても倍増、企業の熱中症対策が急務となっている。

塗装の現場も例外ではない。特に工業塗装の現場では、基本的に密閉空間の中で作業を行うため、30℃、場合によっては40℃の高温下での作業が強いられている。そうした工場内で使用される暑さ対策として代表的なのが大型の扇風機やミストを散布する空冷装置。しかし、塗装工場の現場ではゴミブツや水分が巻き上がり塗装品質に影響を及ぼす可能性もあるため限定的にしか使用できない。また、建設現場などでよく見かけるファン付きの空調服は、膨らむため動きづらくなる、製品によっては清掃などファン部分の手入れが必要といったデメリットがあった。

そんな塗装現場の声を解消する熱中症対策として同社が新たに販売を開始したのが「OP水冷服」だ。同品は水冷式体温冷却服「クールシャツシステム」を採用。このシステムは服の全体に張り巡らされているチューブに冷水を循環させることで体全体を冷やす。

同システムが開発された北米では、夏には毎年40℃を超えることもある厳しい環境下の作業で30年以上使用されてきた実績がある。「消火作業を行うファイアーマンのアンダースーツや50~60度に達するコックピットで運転するカーレースドライバーの保護スーツに利用されているほど、その冷却効果は折り紙つき」(大沼社長)と説明する。

同社では国内初の正規代理店としてクールシャツシステムを使用したスーツの販売を行っており、このほど使用者の意見を反映、改良した同社オリジナル商品「OP水冷服」として発表した。背中上部の首まわりから背中全体を多めに冷やすようにチューブの取り回しを改良。着心地や作業性にもこだわり、メッシュ素材を使用したベスト型にすることでより軽量化を図った。その他にも洗濯をしやすいように改良したり、サイドベルトでS~LLサイズまで調整できるようにするなど、使用者の声を製品に反映させた。

使い方は凍らせた保冷剤やペットボトルを循環用の水と一緒にクーラーユニットに装填。ベストを着用してクーラーユニットとホースを連結し、スイッチを入れ冷却する。ペットボトル3本で90分以上の冷却機能を維持でき、想定する稼働時間に応じて予備のバッテリーや冷却材を準備すれば長時間の冷却にも対応できる。作業者は手元にあるボタンでオン/オフの切り替えが可能なため体の冷えすぎも防げる。必要なのはペットボトルと水、バッテリーの充電費用だけなのでランニングコストも抑えられる。

熱中症への対策は人為的なミスを減少させる効果もある。気温と作業効率及びケアレスミス発生件数の関係を研究したデータも公表されており、猛暑などの過酷な環境下では記憶力の低下や不注意によるミスの発生率が急増することも証明されている。現場の熱中症対策は生産効率を落とさずに作業を進める点でも効果がある。

仕事中に作業者が熱中症になった場合、労働災害と認定されれば損害賠償に発展する可能性もある。熱中症対策は従業員を危険から守るだけでなく、企業のリスクを回避することにもつながる。

「毎年猛暑が常態化、人材不足の背景もあり、労働環境を改善して従業員に長く働いてもらいたいという意識が高まっている。現在、工業塗装の現場を始めとした工場や建設現場でも引き合いをいただいており、販売拡大につなげていきたい」(大沼社長)と展開を加速させていく。

問い合わせ:大沼プランニング・クールシャツ事業部TEL022-381-7021



OP水冷服
OP水冷服
クールユニット
クールユニット

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