QRコード型在庫管理システムを開発

塗料販売店の錦戸塗料店(本社・北海道札幌市、社長・錦戸利枝氏)は、QRコードを利用した在庫管理システム「棚卸くん」を開発した。元々は自社利用のために開発したものだが、QRコードを使った簡便性と市販の販売管理システムとの連携が可能であることから塗料販売店の他、倉庫管理を主とする小売業者にシステム提供が可能と判断。1年に及ぶ社内運用を経て、システム販売を開始した。


札幌市を拠点に建築用、工業用、自補修用の各種塗料を販売する錦戸塗料店が自ら在庫販売システムの構築に着手したのは2019年。「棚卸時に生じた誤差を埋めるためにマイナス計上し、利益を減らしていた」という長年の課題に加え、棚卸における社員の負荷を軽減したいという思いがシステム開発に踏み切らせた。

そこで開発したのが、在庫管理システム「棚卸くん」。

システム体系は、商品ごとにQRコードを作成し、倉庫内における商品の動きをデジタル管理するというシンプルなもの。サーバーやバーコードリーダーの導入を不要とするクラウドシステムを採用し、スマートフォンでの操作を可能にした他、パソコン上でリアルタイムの倉庫内実在庫照会を可能にした。

運用においては、倉庫担当者が商品の出入庫の際にQRコードから読み取った商品情報に数と出庫先を入力。端末は会社が支給したスマートフォンを使用する。担当者ごとにアカウントが設定されているため、自動的に担当者、日時が記録され、実在庫の状況と仕入から納入に至る商品の動きをリアルタイムで把握することができる。

通常、商品の出庫管理は、在庫台帳への記入、もしくは納品書と連携する販管システム上での管理が一般的とされる。しかし、手書きによる台帳記入は、記入漏れや記入間違いといったヒューマンエラーが免れないことに加え、販管システムでの管理においても納品書に対する出庫品の間違いや商品配達のタイミングにずれが生じ、リアルタイムでの在庫把握に課題を残していた。

それでも多くの社店においては、定期的な棚卸作業がデータと実在庫のズレを是正する機会と位置づける。一方、顧客への在庫回答もパソコン上での実在庫情報を信じきれず倉庫へ足を運んだり、ベテラン社員を中心とした社内間連携でこなしている現状がある。

そうした状況に対し、「棚卸くん」は、棚卸作業に伴う労力や経験豊富な社員への依存度を軽減することに成果をもたらしている。

錦戸社長は「当社も年2回と期末の12月の営業最終日翌日に棚卸作業を行っていたが、誤発注や誤発送が見逃せない利益ロスになっていた」と話す。「毎日、データ上と実在庫の誤差を修正することができれば棚卸作業が不要になり、顧客に対しても有意義だと考えた」と実在庫の正確な把握が顧客サービスの向上につながるとの目論見があった。

特に今回のシステムで最大の特長に掲げるのが、既に市場で採用されている塗料向けを含めた販売管理システムとの連携を可能にした点。

現在、同社では市販の塗料販売管理システムを利用しているが、営業先からの顧客履歴の確認、発注指示を可能にしたことでデリバリー機能が向上。そこに商品コード、仕入先コード、顧客コードなどを共用する「棚卸くん」と連携させ、一元管理を実現した。商品発注や納品書作成を行う販管システム側の在庫データと在庫管理システム側のデータを照合することで誤差の発見と原因の分析を日単位で修正することを可能にした。

実際の運用は、終業30分前や出入庫作業の終了時、翌日の早朝など導入企業が任意に定めた定時(毎日)にデータを出力。双方(販管・棚卸)の在庫数が一致しない場合は、付属の警告機能を通じて不一致を知らせ、個々の商品単位で原因を明らかにする。錦戸社長は「塗料は、冬型、夏型を持つ硬化剤のように荷姿が同じでも異なる商品が多くある。誤って商品を配達した際もすぐにリカバリーができる点は顧客サービスとしても大きいのでは」と強調する。

更に同社は、運用の精度を高めるため、営業社員による商品持ち出しを禁じ、商品の出入庫を倉庫担当者に限定する工夫も。「1年の社内運用を経て、月次、年間の棚卸に誤差がないことを実証した」と収益向上につなげた。

販売管理システムとの連携については、事前の確認を要するが、同社としては塗料販売店を問わず、倉庫管理を行う幅広い業種に導入提案を進めていく方針だ。
 システム料金は、1倉庫あたり100万円前後(ソフト開発費)+出張費。管理料6,000円/月。



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