累計200万㎡突破見込み

日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会(JSCB:山田博文代表理事・ヤマダインフラテクノス社長)が展開する循環式ブラスト工法が勢いを増している。橋梁塗装工事における鉛やPCB含有塗膜の剥離で採用が拡大しており、2022年度の施工実績は前年比で2割増の33万㎡を達成、累計では約193万㎡を突破している。また、ベトナムに研修センターを設立し、効率的な技能実習の確立を目指すと同時に、課題とされる人材確保にも対処する。


JSCBでは昨年の建設技術審査証明取得を機に循環式エコクリーンブラスト工法から循環式ブラスト工法に名称を変更。今年5月、循環式ブラスト工法として改めて国交省のNETISに登録された。

循環式ブラスト工法とは、橋梁などの旧塗膜の除去と素地調整において、ブラストによって剥離された塗膜くずと使用した研削材を回収し、両者を選別して研削材を循環再利用するブラスト工法。研削材を循環再利用することで、その量に相当する産業廃棄物の発生を抑制し環境負荷の低減を図ることができる。
産業廃棄物の処分費を大幅に抑えることができる上、産業廃棄物の運搬や処分に伴うCO2排出量の抑制にも寄与できる。コストと環境に配慮したブラスト工法として採用が増えている。

昨年3月には建設技術審査証明を取得した。安全・品質の確保や産業廃棄物発生の抑制効果を高めるための一定基準を設けることが狙い。
山田代表理事は「循環式ブラスト工法が、循環再利用しない場合と同等の品質と施工効率を満たした上で、研削材の削減率を算出し、客観的に(大幅な削減を)証明した」として発注機関への提案を積極化させている。

年間33万㎡を達成

現在、橋梁の塗り替え工事では鉛やPCBを含有する塗膜の剥離需要が多くあり、国や自治体、道路会社管轄の橋梁において工事発注が増えている。社会インフラである橋梁の維持管理は重要視され、コロナ下においても塗膜剥離を含む塗装工事件数が大きく落ち込むことはなく、堅調に推移する。

橋梁塗り替えで指針となる「鋼道路橋防食便覧」の改定(2005年)以降に1種ケレン(ブラスト処理)の採用が本格化したことに加えて、国が進める鉛・PCB含有塗膜の除去の高まりから、循環式ブラスト工法が急速に拡大してきた経緯がある。
10年前に年間8万6,000㎡だった施工実績は、循環式ブラスト工法の認知度向上とともに右肩上がりを示し、直近では33万㎡に成長した。累計施工面積は193万㎡となり今年度中に200万㎡を超える見込みとなっている。現在、JSCBの会員は120社を数え、北海道から沖縄まで全国各地で採用実績がある。来年度以降の工事についてもスペックイン案件が増えているといい、今後も採用増を想定している。



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