ヤマダインフラテクノス(本社:愛知県東海市、代表取締役社長・山田博文氏)が展開する「エコクリーンクールスーツ」が令和5年度の国交省・NETISの推奨技術に選定された。
NETISは民間企業などにより開発された新技術を公共工事等に積極的に活用していくためのシステム。
その中の推奨技術とは、公共工事などに関する技術の水準を一層高めるために選定された画期的な新技術と位置付けている。令和5年度は推奨技術2点と準推奨技術2点の計4つの技術が選定された。

「エコクリーンクールスーツ」は全身防護服で、循環式ブラスト工法の施工に欠かせない法令に適合した送気マスクと化学防護服の機能を有する。エアライン機能を有した上下分離タイプの全身防護服で、装着し送気することで全身を陽圧にして有害粉塵から隔離防護する。また、圧縮空気を冷気に変換する装置を付けることでスーツ内に冷気を送り込み、作業者を熱中症から守る機能も持つ。作業者の体の負担を軽減することから現場で評価を得ている。

「エコクリーンクールスーツ」は約10年前に開発し2019年にNETIS登録した。山田社長は「有害物質からの保護だけでなく、夏場の熱中症対策に効果的という特性が評価されて全国各地の現場で使用されている」との見方を示す。
鉛やPCB塗膜の除去作業だけでなく、道路の舗装やアスベスト除去など夏場の炎天下での作業の防護服としても提案していく。

腐食+疲労き裂予防

今後、展開を強化していく方針にあるのが、循環式ブラスト工法とショットピーニング処理を組み合わせた「エコクリーンハイブリッド工法」だ。
ショットピーニングとは特殊鋼球(ピーニング材)を鋼材表面に打ち当て、表面層に圧縮残留応力を与えることで、疲労き裂と応力腐食割れなどに対する抵抗力の向上を図る技術。

従来、既設橋梁ではピーニング材の飛散防止対策が大掛かりになることなどから工場内での施工にとどまっていた。同社ではブラスト用の足場や飛散防護設備を併用するとともに、循環式ブラスト工法の循環再利用システムを使うことで既設橋梁での施工を可能としている。
岐阜大学との共同研究で効果を実証済みで、試験では未処理に比べて疲労等級が2等級向上した。NETIS登録も済ませており、公共工事での採用に向けて積極的に提案していく。