調色システムにAIを搭載 学習機能が精度を高める

関西ペイントは次世代型カラーセンサー調色システム「AI(アイ)カラーシステム」の販売を本格化する。BP工場における生産上のネックである調色問題の解消につながるばかりでなく、今回初めてネット間でつながるIoTを導入し、グループネットワーク化による調色精度の向上を図ることができるAI(人工知能)の発想を導入した。このため対象となるのはBP工場ばかりでなく、調色拠点(カラーラボ)のネットワーク化も想定した画期的なシステムといえる。調色が創色にシフトするためのツールとなる可能性があり、まさに"色彩革命"の要素を孕んでいる。

開発されたAIカラーシステムは多角度分光測色計、タブレット端末機、計量秤から構成され、コンピューター調色で近似色の配合指示といったフローは従来と変わらない。しかし、システムの画期性はデータベースと接続し最新情報が入手できるのに加え、BP工場などユーザーが登録した配合はグルーピング機能によってデータ共有される点にある。

このためグループ登録する企業が増えることで、調合履歴が蓄積され、ターゲット色に近づくための調色データの精度が向上する。このシステムは世界初で特許申請中。しかも新たなアルゴリズム(計算ロジック)を導入し、1回目より近似データが得られるメリットがある。

同社の説明によると、従来1台当たりの平均調色回数5回を2回に短縮し調色作業の標準化を図れる。調色時間は1カ月で約60%の削減を見込めるという。しかもターゲット色のヒット率は30%アップが期待できる。

また、BP工場の生産性、作業効率を阻害する要因のひとつであった調色工程の標準化による改善がAIカラーシステムの狙い。実車測定によってCCS(近似値検索)+CCM(配合補正)でターゲットに近づけ、調合→調色板塗装で目視評価(調色板測定)といったプロセスがスピーディーに行える。

調色作業をマスターするには最低5年かかるといわれているが、AIカラーシステムはベテランから新人まで使い勝手が良く、「誰もが調色に入ることが可能」(同社担当者)となり、人員のシフトが容易となる。

現在、新車色は難易色が増加傾向にある。カーメーカーはパワートレインの技術革新と併せカラーデザインの高度化を進めているためだ。BP工場の現場では人手不足、特に技能工不足が加速度的に深刻化している実態がある。従来の調色システムでは対応できなくなりつつあり、コンピューターカラーシステムへの転換が急務。転換率は数%程度で、導入コストの負担がネックとされる。

関西ペイントでは中長期展望の下で転換率50%を目指し、システムコストを150万円程度に設定、加速度的に普及を目指す。自動車補修塗料マーケットで主導権を執りたい意向。「BP工場は大転換の踊り場にあり、人材育成から生産システムまで激変してくる中で、カラーシステムをひとつの武器に新しいサービスの創造が求められている。この点に焦点を合わせていきたい」(担当者)。

拡張性あるシステム

AI(人工知能)をモチーフとしたカラーシステムの時代の到来を告げている。その第一歩となる革新が「AIカラーシステム」。自己学習能力を高めることで調色精度が向上しIoTによるグループ内でのデータ共有によってオンライン通信とグルーピング機能の高度化を実現する。

この方向の先には塗料の最大の特長である調色機能を創色機能にシフトできる可能性を秘める。自動車補修分野にとどまることなく、工業から汎用領域までのオンライン化した創色ネットワークの構築で、塗料産業そのものを根底から変えていくだろう。

そのためのポイントは過去の検索配合データの蓄積ばかりでなく、関西ペイントの新たなカラーデザイン開発との一体化が必須条件となる。当然本格的AIイノベーションの導入、開かれたIoTに向けた進化が必要なことはいうまでもない。

塗料の色彩力(パワー)は社会的認知が依然低い。塗装レスの加飾技術に目を奪われ、また乾式システムに市場を侵食されている面もある。その一方で塗色はフレキシビリティ(柔軟な対応力)があり、カラーバリエーション(発色の幅と高さ)では比較するものがない。コストパフォーマンスも決して劣っていない。ユーザーの懸念するVOCなど環境適性は改善が十分可能だ。総合的な色彩力では断トツ。「AIカラーシステム」は塗料のカラーパワーを広く産業界、社会に示していくツールとなるものだ。

記者発表の席であいさつした関西ペイント販売の毛利訓士社長は「当社にとってカラーセンサー調色の第5世代となるバージョンで、最新の情報技術を結集して開発した。AIカラーシステムでBP工場のイノベーションをスタートするお役に立ちたい。調色の新しい形、そのキーワードはデジタル版"匠の技(わざ)"です」と述べた。

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AIカラーシステムの構成
AIカラーシステムの構成
あいさつする関ペ販売・毛利社長
あいさつする関ペ販売・毛利社長

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