「第21回国際オートアフターマーケットEXPO2024」(IAAE)が5日から7日、東京ビッグサイトで開催された。同展は自動車の売買、整備、メンテナンスなどアフターマーケット分野を対象とした展示会で国内外約300社・団体が出展、約1万7,000名が来場した。恒例の塗装実演コーナーでは、アクサルタコーティングシステムズ、イサム塗料、関西ペイント、日本ペイント、ロックペイントが水性塗料を中心に環境配慮型製品を紹介した。

■アクサルタ
アクサルタは、エネルギーコストの削減を追求したクロマックス「ウルトラパフォーマンスエナジーシステム」を紹介した。

最大の特長は工程時間を短縮する速乾性。「大気中の水分を使って硬化スピードを上げる」独自技術によりプライマーからクリヤーまでの作業時間を従来の92分から38分と大幅に短縮した。実演では、プライマー、ノンサンディングサーフェーサー、ベースコート、クリヤー塗装を披露し、同社が2024年のオートモーティブ・カラーに選んだ黒系塗色「スターリー・ナイト」で仕上げた。

プライマーは、簡易施工を実現したメタルプレトリートメントワイプ 「PS1800」でワイプ塗布した後、ノンサンディングシーラー「NS28シリーズ」を塗装。1コートで隠ぺい性を確保し、塗料使用量の削減に寄与するのが特長。「塗布後5分程度で艶消し状態になり、ゴミ取りが可能」とブース占有時間の短縮に寄与する。

その後、1.5コートの連続塗装で仕上げる水性ベースコート「クロマックスPRO」、クリヤー「ウルトラパフォーマンスエナジーシステムクリヤーCC6750」を塗装。「CC6750」は、常温下(20℃)で30~55分、60℃で5~10分と寒冷地でも効果を発揮する速乾性が特長。中間フラッシュを不要とする1.5~2コートの連続塗装でしまりの良い仕上がり感を訴求した。

■イサム塗料
イサム塗料は、有機則フリーシステムを紹介。水性1液ベースコート「アクアス」の前身である「エコアート」にはじまる約四半世紀に及ぶ水性塗料開発の歩みを紹介し、昨年発売したウェットオンウェットタイプの水性1液ベースコート「クロノスHD」を使ったボカシ塗装を披露した。実演では、光硬化パテ「ライトアップPlus」、ベースコート「クロノスHD」、クリヤー「ピュアWSクリヤー」を使用した。

「ライトアップPlus」は、専用照射機で硬化する光硬化パテ。パテ付けから面出し、脱脂を行い、その後、可視光照射(30秒)、UV照射(30秒)を実施した。「パテの収縮がなく、高く盛る必要がない」とスケールを使った面出しの簡易性を強調するとともに、「通常パテと同様に扱える」とパテ研ぎの良さを示した。

その後、ベースコートでウェットオンウェットを実現した「クロノスHD」の作業性の高さをアピール。続いて、連続塗装を可能にする「ピュアWSクリヤー」を塗布し、溶剤系同等の仕上がり感を示した。

■関西ペイント
関西ペイントは「レタンWBエコEBシステム3.0」を紹介。冒頭に環境法令対応や人材確保など自動車補修市場が抱える課題を指摘した上で、先日バージョンアップを発表した「AIカラーシステム」や一昨年に第3世代シリーズとして投入した「オール水性有機則システム」を通じ、「サステナブルなボディショップの実現」に貢献していく姿勢を訴求した。実演では、パテ済みのフェンダーパネルを使い、プラサフ、ベースコート、クリヤーを披露した。

プラサフ「レタンWBエコEV EQプラサフ」では、ウェットオンウェットによる作業効率の高さを訴求。「強制乾燥に要していた約20分をカットでき、サンディングなしでカラーベースを塗布できる。またボカシ際のなじみ性も向上した」と水性プラサフならではのメリットを伝えた。

その後、レベリング剤(アンダーコート)を塗布し、カラーベースでガンメタリック色のボカシ塗装を実施。「高密度、高硬度の塗膜を形成し、水性ベースコートでの高難易色も可能」と実用性の高さを示した。

続いて、4月にバージョンアップを控える水性耐擦り傷性クリヤー「レタンWBエコ EVダイヤモンドクリヤー」を紹介。連続塗装(2コート)が可能で、作業性と仕上がり感の良さを訴求した。

■日本ペイント
作業性、高隠ぺい性、環境対応に貢献する水性塗料ブランドとして2005年から「nax E-CUBE(イーキューブ)」を展開してきた日本ペイント。今年、リブランドを行い、「E-CUBE PLUS(イーキューブプラス)」として"Engagement"を新たなキーコンセプトに加えた。「未来のあるべき姿に向け、魅力的な工場づくりをサポートしていく」姿勢を全面に打ち出した。実演では、電着パネルに対しプラサフ、ベースコート、クリヤーを披露した。

水性プラサフ「nax E-CUBE WBプラサフヴィータ」は昨年リニューアルし、ウェットオンウェット仕様を可能にしたのが特長。巣穴隠ぺい性、厚膜作業性に優れる他、ホワイト、ダークグレー、グレーの3色をラインアップ。更にWBのソリッド原色を30%混ぜることでカラープラサフ仕様が可能となり、塗装回数削減に寄与する。1回目の塗装後に斑模様になり、2回目の塗装で斑模様が消えるのが特徴だ。

水性ベースコート「nax E-CUBE WB」は、ウェットオンウェット仕様に対応し、溶剤1液ベースコートと同等の施工性を確保したのが特長。季節対応を想定した6種類の希釈剤を揃え、従来の水性塗料と比べて作業時間約30%、コスト約10%を削減する。

水性クリヤーは自己修復型の「E-CUBE WB(2:1)SCクリヤー」を揃える一方、実演では「E-CUBE WB(2:1)NNクリヤー」を披露。乾燥性を高めた他、「絵具やボンドのような臭い」と低臭性をアピールした。

■ロックペイント
ロックペイントは、1994年に水性ベースコート「ウォーターベース」、2008年に「ネオウォーターベース」を投入するなど、豊富な実績が強み。今展では、近日発売する水性プラサフ、水性クリヤーを加えたオール水性塗装システムを紹介し、「溶剤1液ベースコートとしてVOC排出量比で69%減、VOC含有量比で43%減少する」と環境性能の高さを強調した。実演では、プラサフ、ベースコート、クリヤーを披露した。

水性プラサフ「ロック ハイドロプラサフ」は、サンディング仕様とウェットオンウェット仕様に対応する他、3色混合による明度調整を可能にしたのが特徴。ベースコート「ネオウォーターベース」は、隠ぺい性、ボカシなじみ性が高く、溶剤系並みの塗膜性能と高外観仕上げを可能にする。

新製品の「ロック ハイドロクリヤーⅡ」は、ウェットオンウェット塗装に対応し、乾燥時間20℃×15分と自然乾燥下での速乾性が特長。高光沢、肉持ち感に優れた塗膜を形成する。

その他、耐擦り傷性クリヤー「エコロック アンチスクラッチクリヤー」、マット塗装専用トップコートクリヤー「エコロック フルマットクリヤー」を紹介した他、「Dr.Rock7.0」をアピール。測色ツールから製品配合や価格管理機能などを搭載した総合管理ツールとして利便性を訴求した。

塗装実演コーナーでは、各社ともコスト削減効果、環境負荷低減に寄与する水性システムの実用性の高さをアピール。塗布型フィルムの実演塗装を行ったFenix Japanなどプロテクションフィルムの出展が活発化する中、環境負荷低減に注力する塗料業界のスタンスが際立った。