教育の場に広がる抗ウイルス塗料

「みんなで安全な部室に塗り替えよう！」を合言葉に先月、兵庫県内の高校で生徒たちによる抗ウイルス塗装のセルフペイントが行われた。使用された塗料はターナー色彩が今年2月に発売した「ミルクペイント室内かべ用アンチウイルスプラス」。安全・衛生面での課題を抱えていた「運動部の部室の環境改善」と、カラーリングによる「環境美化」を同時に達成、「安心して部室が使えるようになった」と高校側の満足度も高い。抗ウイルス塗料を広める1つのヒントが垣間見えた。

狭い室内に人が集まって"密"な状態になる上、汗で濡れたユニホームや泥のついたスパイクで多くの部員が出入りする運動部の部室。決して衛生的とは言えないそこは、新型コロナウイルスの感染リスクが高い場所の1つとして関係者の注意が向けられている。

そんな部室の環境改善を目的に、「みんなで安全な部室に塗り替えよう！」と抗ウイルス塗料によるセルフペイントを行ったのは、兵庫県立須磨友が丘高校（川崎芳徳学校長）の生徒たちだ。3月初旬、野球部や陸上部、バスケ、バレーボールなど運動部の男女60人ほどの生徒が、自分たちの部室を塗り替える作業を行った。

きっかけは、抗ウイルス塗料の新製品「ミルクペイント室内かべ用アンチウイルスプラス」を発売したばかりのターナー色彩からの提案。絵具メーカーでもある同社は画材製品の納入で同校とも関係があり、美術科の教員を通じて抗ウイルス塗料による環境改善を提案、運動部の部室の衛生対策が課題だったことから川崎学校長の認可が即座に下り、生徒たちによる抗ウイルス塗装の体験会の実施にいたった。

部室を色でカスタマイズ

体験会の当日、参加した生徒はいずれも塗装作業は初めての経験。ターナー色彩の担当者の指導を受けながら刷毛やローラーを動かすが、臭いがなく、素人の自分たちでも思っていた以上に塗りやすい。それもそのはず、「皆さんが塗っている『ミルクペイントシリーズ』は、一般の人たちが塗るDIYで最も親しまれている塗料の1つなんです」との説明に生徒たちも納得顔だ。

そして、嬉しかったのは自分たちで好きな色を選べたこと。ベースのホワイト系の色以外に、それぞれの部室の1面の壁にアクセントカラーをチョイスできた。グリーンやブルー、イエローなど可愛くて元気が出そうな色をそれぞれの壁の1面に配色。自分たちにカスタマイズされた部室になったようで何だかうれしい。

同品は、抗ウイルス機能を持ちながら全18色のカラーバリエーションを揃え、ビビッドな色域をカバーしているのもセールスポイント。キャッチフレーズは「日常に彩りと安心を」。"イロトリドリの安心"に包まれる同品ならではの部室づくりが生徒たちにも喜ばれた。

運動部の各部室が連なる部室棟は築40年以上の年季の入った建物。歴代の先輩が遺してきた落書きも味があるけれど、「この際だからきれいにしちゃえ！」とペイントで塗り消した。抗ウイルス塗料を使って自分たちの手で、クリーンでカッコいい部室に塗り替えたから愛着もひとしお。部活動にも一段と力が入りそうだ。

同校の川崎学校長は、「ターナーさんの提案をきっかけに、運動部の部室を皆で楽しく、気に入った色に塗り上げました。新型コロナウイルスの感染防止の観点で、運動部の部室での対策が大きな課題でしたが、安心して部室が利用できるようになりました。素敵な商品開発に感謝です」と今回の活動への感想を寄せた。

ターナー色彩の「ミルクペイント室内かべ用アンチウイルスプラス」は、DIY市場のヒット商品「ミルクペイント」に抗ウイルス機能を新たに付加して開発した室内壁用の水性塗料。抗ウイルスの他、抗菌、消臭、防カビ、クリーニング、不燃の多機能性と、多彩な色を揃えたデザイン性がセールスポイント。

今回の須磨友が丘高校での活動を通じて、「各種学校における展開のヒントが垣間見えた」と同社の担当者。学校の環境改善活動として生徒たちによるセルフペイントでプログラムすれば、コストも塗料代だけの低予算で済み、教育委員会などを通さず学校の裁量で決められる可能性が高まる。既に同社製品を扱う画材店などが地域の学校に提案、採用されるケースが出てきているという。「コロナ禍を経て安全安心な環境づくりへのニーズが高まり、特に教育の場では一層強く求められると思います」と担当者。画材を通じた知名度の高さというアドバンテージを生かし、抗ウイルス塗料を教育の場に広めていきたい意向だ。