昨年6月に新社長の野浪広隆氏(56歳)が就任した。新体制発足から約1年、社内強化を進める上で重要視するのが徹底的なコミュニケーションだ。社長自らの言葉でメッセージを発信し全社員との共有化を目指している。社内体制の強化を進めることで顧客満足度の向上につながり、事業拡大に寄与するとの考えだ。

――社長に就任され、事業環境をどのように見ていますか。
「国内外を問わず社会情勢が目まぐるしく変化している中、その変化に合わせた最適解を常に模索し続け、これまで以上に柔軟な対応が必要であると見ています。これらの変化はモノづくりの現場においても同様で、我々は常にお客様の問題解決に邁進していく必要があります」

――アプローチの仕方は。
「お客様の課題やニーズはとても多種多様で、その中でも特に最近は環境対策やエネルギー問題に関心が高まっていると感じます。これらを含む課題に対して、協業するメーカー様(塗料・機器)の製品開発や技術力は日々進化しています。お客様の課題解決に向けた商材の情報収集に力を入れ、スピーディーに発信やご提案ができるよう準備をしています」

――メーカーとの連携の形は。
「新商材紹介やビジネス提案を頂いたり、メーカー様を迎えて社内勉強会を実施したり、商材だけにとどまらず事業戦略を話し合うこともしています。新体制となった昨年からは、そうした機会を増やしています。大切なのはリアルなコミュニケーションだと考えています」

――コミュニケーション重視についてもう少し聞かせてください。
「コロナ禍で人と人の触れ合う機会が減りましたが、やはり対面で対話し、その場の空気を共有することで信頼関係が構築されると考えています。人と人との繋がりで新たなビジネスチャンスが生まれるとの考えから、コミュニケーションを重視し、意識的にその機会を増やしています。それは社外だけでなく社内に向けても同様です」

――社内向けの考えとは。
「時代の変化への対応力、お客様への提案力、問題解決力、これらを高めるには社内体制が強固なものである必要があると考えています」

――人材育成に関わる部分ですね。どの企業においても人材の確保と育成は課題を抱えています。
「当社においても課題は尽きません。少子高齢化や人口減少に関するいわゆる"2030年問題"も近づきつつあり、その時になって『さあどうしよう』では優秀な人材は流出してしまいます。今まで以上に"人財"という考えをトップが常に意識しながら社員と接することで、働く人に選ばれる企業であり続ける必要があります。新たなグループビジョンに掲げた『風通しの良い会社』を追求しながら推進しているところです」

――具体的にどのようなものですか。
「社員それぞれが互いに認め合い尊重し合えるフィールドであるということです。それは一人一人が成長できる環境作りとも言えます。そのためには、まだ多くの方の意識改革が必要だと考えています。変化し続けるこれからの時代を生き抜くために、時代に合った新しい風も吹きこんでいきたいです。多能化やスペシャリストといった個々の資質や考えを色濃く出した人材形成など、社員一人一人が活躍できる育成が重要であり、その醸成がエンゲージメントに繋がりモチベーションアップになるはずです」

――どのように実現させますか。
「先に話しているコミュニケーションがとても重要だと考えています。今私は、営業や業務と同じフロアにいることで、全員の顔が見られる、声がかけ合える環境にいます。国内の従業員数は現在50名ほどですから、全員の顔も性格も分かります。また、日々の打ち合わせや全社会議などを通じて、事業方針や経営計画、グループビジョンについて自分の言葉で伝えることを意識していますので、熱量は伝わっていると思っています」

――雰囲気に変化は見られますか。
「就任から更に風通しを良くしようと取り組んでいます。この1年で社員はとてもイキイキとしてきましたし、社内の空気も変わってきたと強く感じています。それに伴う成果も徐々に見え始めているので、これからとても期待が持てます。市場環境に左右されず、自社努力で成長していける手応えを感じています」

――人員体制については。
「2024年から新体制となりましたが、それから5名の採用をしており、2025年度からは当社初の試みとして、女性営業職2名の採用が決まっています。塗料販売の営業はまだ男性のイメージがありますが、女性も活躍できるフィールド作りへの挑戦と言えます。彼女達からはエネルギッシュでアクティブな考えを感じるので、新しい形でのロールモデルとして非常に期待しています。多くの新メンバーを加えた企業成長への加速と、この新しい挑戦にとてもワクワクしています」

――最後に社長就任2年目以降の方針を教えてください。
「今の取り組みを加速させていきます。中長期先の会社の未来ビジョンを想像すると、体制強化をもっと加速させていく必要があります。それには管理職の成長が必要不可欠です。管理職も同じ熱量を持って取り組んでいければ、更なる組織力の向上に繋がり、お客様へのサポートや提案力、ニーズに応える力になると考えています。当社はこれからも多くのことに挑戦し続け、モノづくりの現場におけるさまざまな課題解決を通じて、お客様に寄り添いながら、社会に貢献ができるよう成長を続けていきます」

――ありがとうございました。