関西ペイントは工業塗料市場に対して付加価値を上げる活動を進めて事業拡大を目指していく。5月には機能性を付与した3製品を新たに上市し製品力の強化を図り事業拡大を狙う。
新製品は上下兼用塗料1製品と下塗り2製品であり、一般工業塗装ユーザー向けに拡販していく考え。
ウレタン樹脂系塗料「1コートレタンECO」は、2液形の特定化学物質障害予防規則対応溶剤系塗料で下塗りと上塗りが兼用でき1コートで仕上げることが可能。従来2コート2ベークであった仕様を1コート1ベークに工程短縮が実現できる。
従来、1コート仕上げタイプの塗料は特定ユーザー向けとして展開していたが、調色可能にするなど汎用的にカスタマイズし、このほど「1コートレタンECO」として市場投入する。
工業塗装の現場では省エネや人手不足対策に関心が高まっており、そうしたニーズに対して「1コートレタンECO」を積極的に提案していく。
発泡抑制/特化則対応のプライマー
下塗り塗料としては「カンペ焼付プラサフ700」と「カンペ焼付プラサフECO」を販売し、「カンペ焼付」シリーズの拡充を図る。
「カンペ焼付プラサフ700」はプライマーとしての優れた耐食性はもちろんのこと、被塗物からの発泡を抑えられる機能を持つ。鋳物など厚物は塗装乾燥時に発泡が起こる場合があるが、それを抑えることができる。
粉体塗装の下塗りとしても適しており、粉体塗装の場合は2コート1ベークの仕様となる。
一方の「カンペ焼付プラサフECO」は特化則対応品となっている。
従来、特化則対応として上塗りでは「レタンECOベーク」があったものの、対応する焼付タイプの下塗り塗料がなかった。「カンペ焼付プラサフECO」を販売することで、下塗り上塗りのトータルでも特化則に対応した仕様が可能となる。
労働安全衛生法の関係法令が改正され新たにエチルベンゼンが特化則の規制対象になるなど、社会的に作業環境の改善を進める傾向が強まっている。関西ペイントとしても特化則対応品を拡充することで拡販を図っていく。
また、昨年4月に発売した「マジクロンLTC」について、脱炭素につながるとしてPRを進めている。
「マジクロンLTC」は工業用塗料分野の主力製品である熱硬化形アクリル樹脂塗料「マジクロンシリーズ」の低温焼付タイプの位置づけ。耐候性は従来品と同等を確保しつつ、焼付温度を従来品160℃から140℃へ低温化を実現した。
焼付温度の低温化によるCO2削減が期待できる上、塗装現場で多く使用されているアルキドメラミン塗料(130~140℃)と同時焼付が可能になり工程短縮にもなる。
一般工業塗装ユーザー向けの展開として今夏にも新製品発表を予定しており、製品ラインアップの拡充を図ることで事業拡大を目指す。