2008年は昨年からのBYK-Chemie GmbH(ドイツ)とビックケミー・ジャパン共同のワックスキャンペーンを継続してより高付加価値のある製品、技術情報をお届けしてまいります。製品説明会開催、各会社様別のインハウスセミナーなども計画していますのでご期待ください。WEBではベースとなるワックスやワックス添加剤を基礎理論から応用例など、紙面連載以上に図表を用いながら、連載講座でご紹介をしています。
連載講座(4)では、ワックスの効果の耐スクラッチ性および耐磨耗性についてお話を進めます。
塗料におけるワックスの効果 耐スクラッチ性および耐磨耗性
前編では撥水性/ブロッキング性を付与することができる低融点ワックス添加剤を紹介しました。
今回は適切な耐スクラッチ性および耐摩耗性を向上できるワックス添加剤を説明したいと思います。
塗料、インキの分野に限らず多くの用途において重要な要求事項ですので試験方法とその結果を示しながら個々の製品を紹介させていただきます。
印刷インキで要求される代表的な摩耗性試験結果を図1および図2に示します。
図2
それぞれディスパージョンタイプのAQUACER531とマイクロナイズドタイプのCERAFLOUR928を使用しています。テスト方法および測定機器はPRUFBAUを用いた業界では一般的なものです。
インキ用のテストでは、印刷していない紙に荷重をかけながら、印刷面全体にわたって動かして耐摩耗性を評価します。
木工塗料(水系パーケットラッカー)の場合には、テーバー磨耗試験(写真1)が一般的に適用されます。
一定荷重をかけた磨耗輪を塗膜の上で回転させて動かし、試料の重量損失を測定します。重量損失の少ない塗膜が耐摩耗性に優れているといえます。図3にはアクリルウレタン塗料に3種類のポリエチレンワックス添加剤を2%添加して試験を行っています。粒子径の大きなAQUAMAT270とCERAFLOUR928が良好な結果になっています。
表面が紙と擦れる場合にはRCA試験機を用います(写真2)。
塗膜の上に一定幅の紙に荷重をかけて滑らせて、塗膜の磨耗度合いをみます。図4に溶剤型の2液ウレタン艶消し塗料でワックスの有り無しの磨耗の差を確認しました。
他にも図5のようなSatra Testといってフェルトの布を塗膜上で回転させ擦り傷レベルをチェックする試験方法もあります。
図6に示すようにCERAFLOUR988(ポリエチレンとアマイドのアロイワックス)を使用することによりかなりのレベルまで向上することができます。
また、単純に人の爪を用いてスクラッチ性を評価する場合もあります(図7)。
ビックケミー社では水および溶剤ディスパージョンタイプ、粉体タイプとさまざまな形態のワックスを上市しております。
BYK company profile:
ビックケミーは塗料、インキおよびプラスチック業界で使用される添加剤では、世界的なリーディングサプライヤーの一つです。添加剤は塗料、インキおよびプラスチックの製造工程で使用され、製造工程を最適化し、最終製品の品質、外観を大きく向上させます。ビックケミーでは、湿潤分散剤、スリップ性、レベリング性を向上させる表面調整剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤をはじめ、ナノテクノロジーを応用した添加剤、ワックス添加剤等を取り扱っています。
Wax Additives
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