「色はコミュニケーションツールだと思っています。明るい気持ちにしたり、元気づけたり、和ませくれたり。言葉を越えて人の心に働きかけるのが色のチカラ。それが私の創作活動の原動力になっているかもしれません」▲先日、バルサミコヤスさんというユニークな名前のアーティストに取材をさせてもらった。ミューラルアート(壁画)からCDのジャケットやアパレルのデザインまで幅広いアート作品を手がけ、その独創的な色づかいが興味を引き立てるアーティストだ▲「色」は「感情」だと言う。目には見えない感情を、視覚的に表す手段が色だと。色は感情だから、正解も不正解も、ルールや規則もないけれど「描いている人がハッピーじゃないと、見る人に伝わるはずがない」と、色を楽しみ尽くすことを掟にしている。彼女の作品に触れた多くの人の笑顔で、ハッピーの輪が広がっていることを実感している▲バルサミコヤスさんの話を聞いているうちに募ってきたのは、私たちの業界は何か大きな忘れ物をしてきたのではないかという焦燥感だ。性能や機能ももちろん大事だけれど、「色」というもっとプリミティブな価値を見過ごしてきたことへの焦り▲11月16日を語呂あわせした「いいいろ(色)の日」を前に、色彩提供産業として顧みたい視点だ(K)

