日本ペイントホールディングスは3月16日、中期経営計画(2021~2023年度)進捗説明会をオンラインで開催した。売上収益はコロナ禍が継続する中でも高い成長を達成し、代表執行役共同社長の若月雄一郎氏は「中計3年目の売上収益目標1兆1,000億円は1年前倒しで達成する見通し」と説明。2022年の売上収益は1兆2,000億円を見込んでいる。

中計1年目となる昨年は販売増や価格改善、M&Aにより大幅に増収。売上収益は9,983億円。今期はM&A寄与などにより20%の増収を見込んでいる。

中計の最終利益目標1,400億円(2023年)は変更せず、引き続き売上成長とマージンの改善による達成を目指す。昨年の営業利益は876億円。2022年はM&Aの新規連結50億円増、売上増及びマージン改善で150億円増などにより2022年は1,150億円を目指す。

原材料市況については「今年前半までは上昇傾向が続くと見ており、ウクライナ情勢と合わせて予断を許さない」(若月社長)との見方で、値上げを進めていく意向。原材料価格が上昇する中、営業利益率は昨年第3四半期を底に、値上げの浸透に伴い徐々に改善させ、需要期である今年の第2四半期、第3四半期で大きく改善を図っていく。中長期的には販売価格の値上げによるマージン回復は十分可能との見方。

中国建築市場について、1人当たりの塗料消費量が先進国の約3分の1であることや、都市化の継続的進展、中国国民への良質な住宅の供給という政策、更に民間住宅を中心とする膨大な塗り替え需要を考慮するとGDPプラスアルファの成長が見込める市場との見方。

その上で「市場はダイナミックに変化しているので、その変化を見逃さず常に市場の先を見越して手を打っていく」とのスタンスを示す。塗料販売だけでなく、製品やサービスを統合し顧客に利便性を提供する。

一方、日本事業について、汎用市場はコロナ影響からの回復を想定しており高機能差別化製品の拡販を推進する。工業用分野はコイルや農機、建機などで市況回復を想定しており、値上げやシェア拡大を推進する。

また、設備投資は売上成長率が高いアジアやその他の地域では新設や増設を中心に投資する一方で、日本では設備更新及び保全の投資が中心となる。M&A戦略は引き続き積極的に推進し、事業領域は塗料(建築、工業)と塗料周辺とする。