日本ペイントホールディングスは昨年末、高分子材料の強度と構造の関係を明らかにする新たな解析手法を開発した。強度特性に影響する具体的な構造を特定することが可能となり、新規塗料材料及び次世代の材料設計への貢献が期待される。

塗料開発において、塗料材料の強度特性を制御することは、塗料の耐久性などの観点から重要な要件。ただ、従来技術では高分子の強度特性は測定できても材料内部の具体的な構造と強度特性を関連づけて解明することは困難であり、材料設計は経験則に基づいている実情がある。

こうした現状に対し、日本ペイントと東京大学大学院工学系研究科は、シミュレーションと数理科学的手法を融合させた高分子材料の構造と強度の関係を解明する解析手法を開発。高分子膜の引張試験中のパーシステント図において、変化が最も顕著なリング構造を抽出すると、リング構造の変化が応力ひずみ曲線の応力の増減に対応していることを見出した。

更にパーシステント図を逆解析することで、応力ひずみ曲線に影響を与える高分子鎖の具体的な構造の特定に成功した。

これにより、シミュレーションから高分子材料の強度に関する情報を効率的に取得することが可能となり、資源、時間、コスト、環境負荷低減の観点から新規塗料開発の促進が期待される。