塗料販売店向けクラウド型販売管理システムを展開するEngoは、1月にPaintnote株式会社に社名変更を行い、2月1日から取引先との受発注を可能にする「Paintnote EDI」のβ版をリリースした。「新規顧客の拡大が難しい中で顧客の囲い込み策としての期待が高まっている」(藤井友輝社長)と導入に前向きな意向を示す10数社を基点に実績を重ねていく考えだ。

データ交換を意味するEDIは、企業間取引に類する発注書、納品書、請求書などのビジネス文書を電子化し、受発注業務の省力化、効率化を目的としたもの。しかし、個別企業での開発には数千万円規模の開発費用がかかると言われ、電話やFAX注文が根強く残る商慣習もEDI導入を阻む遠因となっている。

その中で、同社が今回開発した「Paintnote EDI」は、塗料販売店と塗装ユーザーの取引を対象に開発したもの。サーバーの導入やソフトウェアのインストールを不要とするクラウド型システムを採用し、同じクラウド型の塗料販売管理システムと連携することで、作業場所を問わず販売管理と受発注業務の一元管理を可能にする。

導入の流れとしては、商品データ及び得意先データの入力などの初期設定(約2週間)を行った後、顧客に専用URLとパスワードを通知し、運用を開始。運用面では、顧客からの注文を受けた後、担当者がクリックで仮受注を承認し、顧客側が発注を確定。その後、担当者は納期確定の通知を行う。顧客側の荷受は、注文時に店入れ、現場入れを選択することが可能。価格についてはシステム上では非公開とし、個別連絡の従来方法を残した。

EDIの活用により、販売店にとっては、電話受注の際のメモの記入やノートへの転記、入力作業が不要になる他、販管システムと連携させることで発注票への転記も不要になる。また仕入れに関しても発注情報が既に登録されているため、入力作業が不要となり、仕入計上のためのチェックを入れるのみとなる。

事業規模によって違いはあるものの、1日数十件に及ぶFAX、電話による受注業務が簡素化される他、文字情報が記録されるため間違いの際の責任の所在が明確化できるなどのメリットがある。

一方、EDIで重要になるのが、顧客の利便性。ユーザーに利便性やメリットがなければ、利用率が高まらず、受注方式が分散化する。

そこで同社は、使いやすさや分かりやすさといった使用者の体験や経験に主眼を置いたUX(ユーザーエクスペリエンス)を設計思想に取り入れ、説明書がなくても迷わずに使えるインターフェースを採用。顧客はパソコン、タブレット、スマートフォンのいずれの端末からでも注文が可能。製品検索もメーカー名、商品名、商品カテゴリーの他、過去の発注履歴から再注文ができる「いつもの」機能を付与した。

この他、特売商品やキャンペーン告知などWEBチラシとしても使える「おすすめ品紹介」機能や営業日、休業日を伝えるカレンダー機能なども設け、顧客とのコミュニケーションツールとしての活用に期待する。

EDI使用料は、得意先数に応じて月額5,000円(5社まで)、3万円(6~20社)、5万円(21社~)の3プラン。

藤井社長は「当初は、個人事業主が多い建築分野で利用頂けるか懸念があったが、工業用、自補修含め分野問わず関心を頂いている」とコメント。販売店にとっては、EDIが既存顧客の囲い込み策に寄与するとの目線がある。

社名変更の理由は、「サービス名称と同じにすることで認知度を高めていきたい」と説明。1月からPaintonoteとして再スタートを切った。