業界初、ナノ技術を駆使した 船底塗料「FASTAR」市場投入へ

日本ペイントマリンは、1月から独自のナノテクノロジーを駆使した船底防汚塗料「FASTAR」 を発売した。業界初の「親水疎水ナノドメイン技術」を採用し、防汚剤の溶出量を従来比で最大50%超低減、海洋環境の負荷を低減するとともに、従来からの特許技術であるウォータートラップ技術を採用することで、船舶の燃料消費量を約8%低減できる。独自技術で更なる環境負荷低減と船舶の効率運航の両立に貢献していく。


近年、環境面では、地球温暖化により海水温度の急激な変化、市況においては、海運市況の変化に伴う船舶運航形態の多様化が進んでいる。環境課題としての海洋汚染防止やCO2 削減が叫ばれている中で、同社ではこれまで2008年に低燃費型防汚染塗料「LF-Sea」、2013 年にはその発展型である超低燃費型防汚塗料「A-LF-Sea」、2017 年には防汚剤フリーの防汚塗料「アクアテラス」を市場投入。環境課題の解決、船舶の燃費削減に寄与する製品を展開してきた。

今回同社が開発した「FASTAR」は加水分解型の樹脂に親水部と疎水部が併存するドメイン構造を持たせ、更にその大きさをナノレベルにまで小さくすることで、防汚材の溶出をコントロールする「親水疎水ナノドメイン構造」を業界で初めて採用。これにより、防汚剤の溶出量を従来型と比較して最大50%超削減しつつ、塗膜の表層に防汚成分を拡散・保持できる画期的な防汚機能を付与することで、防汚効果を長期にわたって持続することが可能となった。

更に、同社独自の水の流動抵抗を低減させる「ウォータートラッピング技術」を採用することで船舶の燃料消費量約8%の低減を実現する。

塗装の膜厚が少なくなることで、工程面においても従来品と比較して最大37%低減、顧客にとってはドックの期間を短縮できるとともに、静置状態の防汚性も向上させた。燃費の削減により環境負荷低減も実現できる。

同社は「有機錫に続き、船底塗料の防汚剤に使用されているシブトリンが国際海事機関の規制対象となるなど、今後更なる規制、制限が強化されると予想する。また、マイクロプラスチックによる海洋汚染への関心の高まりで今後低消耗かつ低溶出タイプの塗料・塗膜が求められる」と海洋環境技術の開発を加速させる。

「FASTAR」は、日本やアジア並びに欧州の顧客向けに、2021年から本格的に販売を開始し、販売目標として2023年までに全売上額に占める割合を23%にまで引き上げる方針。

製品ラインアップは一般外航船用「FASTARⅠ」、特定海域外航船用「FASTAR II」、一般外航船低燃費型「FASTAR XI」の他、激しい生物汚損が予想される海域向けに特定海域外航船低燃費型「FASTAR XII」の4種類を揃えている。



FASTARの防汚メカニズム
FASTARの防汚メカニズム

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