LEDで固まるパテ「HIKARIパテ」

浜二ペイント(本社・静岡県浜松市、社長・岡本邦明氏)が開発したLEDで固まるパテ「HIKARIパテ」への注目が高まっている。LED照射によって最大膜厚30mmのパテを数十秒単位の短時間で硬化させる新たな技術。無溶剤、スチレンフリーなどの環境適性も好感され、自動車補修分野を筆頭にさまざまな用途に広がろうとしている。


「HIKARIパテ」はLED照射器で硬化させるパテ。紫外線で硬化させる従来のUVパテが3~5mmの硬化膜厚だったのに対し、同品は最大硬化深度30mmを達成、圧倒的な超膜厚対応をできるのが最大の特長だ。これにより広範なパテ成型へのニーズに対応、同品の活用によってセールスチャンスを広げることができる。

塗膜硬化とLEDの関係

「HIKARIパテ」の開発は、国内最大手のLEDメーカーから浜二ペイントに開発要請が寄せられたのがきっかけ。「当社がUV硬化塗料を得意としていることから、LEDでも硬化する製品を開発できないかとの案件が寄せられました。UVと同じようにLEDを塗膜硬化に利用できないかという開発要請」と同社・岡本裕明課長が経緯を説明。

ここで塗膜硬化の照射器としてのUVとLEDの違いを見てみたい。

岡本課長の説明によると、UV照射に使用される高圧水銀灯はUV塗料の塗膜硬化に有効な360nm付近の波長の出力が最も高いものの、300nm以下から400nm以上に波長領域がバラついており「塗装品質の管理に難しい面がある」とのこと。加えて寿命が短い、ON-OFFの起動時間が長いなども課題として挙げる。

一方、LEDの特徴は、高圧水銀灯のように波長のバラツキがなく、やや長波長の385nmに出力が一定していること。このため塗装品質を標準化できるのが最大の特長だ。また、高エネルギー波長によって表層を瞬間硬化するUVに比べて硬化に要する時間は長くなるものの(最大60秒)、その分光が深奥まで届くため、UVでは不可能だった最大硬化深度30mmの硬化を実現、応用範囲の拡大につなげられる。

更に高圧水銀灯に比べて寿命が飛躍的に延びた他、ON-OFFの切り替えも瞬時に行えるなどLEDならではの特性が作業性のメリットをもたらす。

同社はLEDの波長に適した樹脂や光重合開始剤などの選定、配合の最適化などによってLEDで固まるパテ「HIKARIパテ」を開発、約2年前に市場展開に入った。

自動車補修分野が注目

「HIKARIパテ」は現在、木材、FRP、コンクリート、アルミ・ステンレス・鉄などの金属向けなど素材別や用途別に数種類をラインアップしているが、このうち最も注目が高まっているのが自動車補修分野におけるパテ需要だ。従来多用されてきた板金成型のポリパテに替わるパテとして実績が出始めている。

メリットの1つは作業性。硬化時間が30秒程度とポリパテに比べて飛躍的に速まり、ポリパテで併用されていた遠赤外パネル照射のような熱も伴わないので高張力鋼板のゆがみの影響も避けられる。ポリパテで指摘されていた密着性の点も大きく改善、研磨剤配合で研磨性も高めた。加えて環境適性が高まったことも大きなポイントだ。

「HIKARIパテ」は無溶剤かつスチレンフリー設計のため働く人への安全性が高い。特化則の関係で板金塗装工場への労基署などの立ち入り検査が増加している中、特化則対応がなされている点への評価は高く、「自動車メーカー系列のカーディーラー内製化工場からの引き合いが増えています」と、労働環境改善への時代の流れともマッチした動きを見せている。

一方、同社自身でLED照射器の供給も始めた。385nmの単一波長を照射する「HIKARIパテ」専用のLED照射器「Isaribi」及び「Isaribi mini」をラインアップ。単一波長による安定した仕上がり品質の確保と、100V電源、ハンディタイプの取り扱いやすさ、更に市販品の半額ほどのリーズナブルな価格帯を実現。「LED照射器の価格低下を実現したことで普及へのハードルが下がった」と期待を寄せる。

LED技術の導入によって作業効率の向上とクリーンな職場環境をもたらそうとしている浜二ペイントの「HIKARIパテ」。自動車補修分野を始めさまざまな用途でアプリケーションが進んでいる。



HIKARIパテ
HIKARIパテ
車両鈑金補修 面積800mm×400mm 厚み5mm
車両鈑金補修 面積800mm×400mm 厚み5mm

HOMENew TrendLEDで固まるパテ「HIKARIパテ」

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