関西ペイントは4月下旬、自社で蓄積してきた導電性材料分散技術をリチウムイオン電池材料分野に展開していく意向を明らかにした。

世界的に普及が期待される電気自動車をはじめとする次世代自動車の需要拡大に伴い、動力源となる電池技術の開発及び需要が加速するとの見方がある。同社は2020年に市場供給を開始し、5年間で20億円程度に引き上げたい考え。本格拡大が見込まれる2030年に足固めをしたいとの狙いがある。

会見に出席した石野博社長は「電池材料分野は、塗料開発で積み重ねてきた単位技術が生かせる分野と位置づけている。電気自動車や再生可能エネルギーの普及が見込まれる中、車載用や送電安定性のための蓄電技術が求められており、7年前から着手してきた研究が各種電池部材の生産性、機能性向上に寄与する目処が立った」と説明。プロジェクトチームを発足させ、市場展開を進めていく意向を示した。

同社が狙うのは、リチウムイオン電池に使われる正・負極向け電極膜に要求される導電性物質を含む機能性粉体の分散安定化と電池パッケージに要する絶縁、蓄熱、放熱、耐衝撃性などの機能付与。「導電性と安定性を両立するため、分散しすぎず、適度な導電パスを形成することが重要」(古川秀範取締役常務執行役員)と自動車バンパー用塗料などで蓄積した分散技術がリチウムイオン電池の高導電化、性能安定化に寄与できると判断。また貯蔵安定性や乾燥時の速乾性など製造プロセス改善にも適用できるとしている。

古川氏は、各国が進める自動車電動化の動きを示した上で「各種蓄電デバイスの開発が加速していく。後発となるが元々蓄積した技術があり、高品質製品を安定的に供給できる自負がある」と自信を示した。