中間業績を公表 売上、利益率とも大幅に改善

日本ペイントホールディングスの2023年12月期第2四半期連結業績(4月1日~6月30日)は、売上収益が前年同期比7.6%増の3,627億円、営業利益が141.6%増の488億円と大幅な増収増益となった。塗料販売数量の増加の他に、塗料周辺事業や新規連結の影響がプラス要因となった。代表執行役共同社長の若月雄一郎氏は「引き続き原材料価格の影響が緩和される一方、値上げが浸透し売上と利益率が順調に改善してきている」とし、好調な決算との見方を示した。同社は業績動向を踏まえて業績予想の上方修正を行った。


第2四半期の営業利益率は前年同期比7.5ポイント増の13.5%と大幅に改善した。中国での補助金やオーストラリア・Dulux Group社の2022年の洪水に係る保険収入などを加えた損益が一過性でプラスとなった。為替や新規連結の影響などを除いた実質ベースの営業利益率は11.7%(2.8ポイント増)であり、いずれも改善している。

実質ベースの売上収益は8.5%増の3,654億円、営業利益は42.4%増の426億円となった。

中国の建築用では、TUC(消費者向け事業、DIY事業、代理店・販売店経由の売上、Eコマースなど)においてコロナ関連規制が広がっていた前年同期からの反動があり15%増収となった。一方で、TUB(プロジェクト顧客や主要建設会社との取引など)では軟調な不動産市場の影響を受けて7%減収となった。

「中国全体の利益率は9.4%と、前年同期比で1.7ポイント改善したものの、前四半期比では3.5ポイント低下。特に建築用では数量は伸びたものの、エコノミーゾーンの拡大が大きかったためマージンは低下した」と説明した。中国市場ではシェア拡大を狙って、一部製品の値下げを図り展開した。

自動車用は生産台数が大きく落ち込んだ前年からの反動増もあり、日本、中国、米州で増収となった。

通期業績を上方修正

第2四半期連結業績の累計(1月1日~6月30日)では、売上収益6,929億2,500万円(11.4%増)、営業利益837億3,800万円(98.9%増)、税引前利益819億5,400万円(105.4%増)、四半期利益612億500万円(126.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益608億9,800万円(125.8%増)となった。

また、最近の業績動向を踏まえて、通期業績を上方修正。通期の売上収益は1兆4,000億円から1兆4,500億円、営業利益は1,400億円から1,580億円、税引前利益は1,340億円から1,510億円にそれぞれ上方修正した。

修正要因としては数量成長と原材料費率の低下、2月時点で想定した為替レート比で円安に推移したこと、イタリア・NPT社の新規連結で7月に黒字に転換などの影響による。

原材料市況については、「世界的に見れば景気減速懸念に伴う需要減があり、インフレ影響は軽減しつつある」(若月社長)との見方を示し、製品値上げの浸透と原材料費率の低下により、売上総利益率は改善の見通し。

国内、収益性改善に効果
引き続き値上げ

日本市場を見ると、自動車用塗料においては、部品供給の停滞影響に対する不安は引き続き残るものの、自動車生産台数が大きく落ち込んだ前年同期からの反動増があり増収となった。工業用塗料については、市況が前年同期を下回って推移したものの、値上げが浸透した結果、売上は前期並み。汎用塗料は、線状降雨帯など天候の影響を受けたものの、製品値上げの浸透が進んだことで売上は増加した。

国内の収益性が改善している状況について、需要回復や価格是正だけでなく、「さまざまなプロセスの見直しを行っている。生産外注の見直し及び内製化、ロジスティクスについてもグループ会社挙げての効率化など。この2年のさまざまな取り組みの成果が出てきた」と若月社長は述べた。

中国市場(NIPSEA)は建築分野において、BtoC(TUC)は販売好調が奏功し15%増収した一方で、BtoB(TUB)は依然として軟調な不動産市場の影響を受けて7%減収となった。自動車用は自動車生産台数が落ち込んだ前期からの反動影響により増収となった。

アジア地域については、マレーシアとシンガポールでは製品値上げの浸透などによる成長により増収。タイでは自動車生産台数の前年からの反動増に加えて、完成車メーカーや部品メーカーでシェアが上がり増収となった。

DuluxGroupは、原材料価格の高騰に対応した製品値上げの浸透により増収となった。ただし、新型コロナの影響を受けた需要増からの反動減が続く市場要因と金利上昇に伴う消費者需要への影響などの経済要因により、数量面では伸び悩んでいる。

米州については、自動車用が大きく回復傾向にある一方、汎用については金利上昇に伴う住宅市場の減速の影響が引き続きあり減収となった。

国内成長「できることはある」

第2四半期まで堅調に推移する中、下期については「基本的には原材料価格が下がるとは考えていないが、今の基準が維持され安定していくと見ている。国内では一部値上げを行う部分もあるが、グローバル的には今後も上げているという機運ではないと思う」との見方を示し、グローバルでのシェア拡大を目指していく方針。

現在、「2024年以降の中計について各グループで議論をしているが、どの地域においても今よりも高みを目指している」と若月社長。例えばアジアについては、「シェアを取っているがゆえの課題はある」としつつも、成長市場と捉えて更なるシェア拡大を目指していく。日本については、従来、自動車用、工業用、汎用と個別で展開してきたが、共通化できる部分を整備して効率化を図りたい考え。若月社長は「日本市場は伸びないと言われるが、そんなことはなくまだまだできることはある」との見方を示し、国内外での成長を目指していく。



2023年第2四半期(4月~6月)
2023年第2四半期(4月~6月)

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