第7回塗料・塗装設備展「コーティングジャパン大阪」(主催・RXジャパン)が5月8日(水)~10日(金)の3日間、インテックス大阪で開催された。塗料関連では日本塗料工業会の共同出展ブースで関西ペイント、アトミクス、久保孝ペイント、カナヱ塗料、水谷ペイントなどが出展し、最新技術をアピール。また大気社やアンデックスといった設備関連企業も出展スペースを拡張し、環境対策を中心に新技術を提案した。
■関西ペイント
総合塗料メーカーとして工業用、建築用、自補修の各分野から主力製品を紹介。「展示製品以外にも塗装の困りごとや塗料に関する関心をうかがえる貴重な機会」(担当者)と来場者の質問や相談に対応する光景が見られた。
今回出展したのは、「1コートレタンECO」(工業用)、「アレスダイナミックルーフ遮熱」「同TOP遮熱」(建築用)、「レタンWB ECO EVシステム3.0」(自補修)など。また環境製品として排水処理、環境浄化の効率化に寄与する微生物固定化担体「KPパール」も紹介し、対応力の高さを示した。
■アトミクス
水性防水材「アトレーヌ」、遮熱塗料「アクアルーフ」、塗床材「フロアトップ ガラスコートTG」を出展した。遮熱塗料においては、6月から施行された労働安全衛生規則改正による職場における熱中症対策が強化されたことを案内。オール水性仕様による遮熱塗装を紹介し、熱中症対策と環境対策の両立を訴求した。また塗床材では、帯電防止機能を訴求し、半導体工場など電子材料分野での導入を提案した。
■水谷ペイント
新水系2液型樹脂「G-70」、水性酸化チタン(光触媒)コーティングなどの材料技術を紹介した。
酸化チタンコーティングは、基材表面に光触媒機能を加え、美観と衛生的保護を特長とした技術。継続的な出展を通じ「フィルムや部品関係からの引き合いが増えている」(担当者)と塗料に限定しない幅広い領域で需要創出を目指している。
■カナヱ塗料
「環境」「綺麗」「感動」による「新3K」を提案。汎用性が高く、リユースを可能にするポリエステル樹脂をベースとしたサーキュラーエコノミーのコンセプトを紹介した。
同社では、原料調達から塗料製造、塗装に至る一連のプロセスにおける再資源化取り組みに着手。具体策として下塗りと上塗りを兼ね備えた多機能顔料(クイックシールド)により、塗料使用量の削減、工程短縮、環境負荷低減(CO2、VOC)、エネルギー費削減などさまざまなメリットを伝えた。
■久保孝ペイント
1箱からの即日発送に対応する粉体塗料の他、新製品として下塗り・上塗り兼用の2液ポリウレタン樹脂塗料「プラレス2K」を出展した。
同品は1コートで強靭な塗膜を形成するプライマーレス2液ウレタン塗料。優れた耐食性と耐候性を有する他、高い耐切削油性を確保。指触乾燥時間(25℃)は15分。高作業性、工程短縮に寄与する高機能塗料として幅広い用途に適応する。
■大気社
環境負荷低減、CO2ゼロ化、自動化をキーワードに、自動車バンパーのフィルム加飾システムを紹介した。「塗装」から「フィルムを貼る」に生産技術を変更することでCO2削減の実現を提案する。
意匠性の高いフィルムを真空吸引と加熱によって自動車の外板に装着する。従来のウェット塗装に必要なブース、空調、乾燥炉、排水設備などが不要となるため、省エネ・省スペース化が可能となる。
そこで展示されていたバンパーに使用されていたフィルムは、日本ペイント・オートモーティブコーティングス(インサートモールドラミネーション用加飾フィルム)、アイカ工業(自動車内外装向けハードコートフィルム)、大日本印刷(トーン用外装ルーフフィルム)の3社だ。
フィルムならではの意匠性も表現していた。光の反射率と透過率を制御することで点灯・非点灯で意匠表現を変えたり、エンボス加工による凹凸表現であったりと新たな意匠性を提案した。
■アンデックス
循環型粉体塗装ブース「CAB ADC」を出展し、冷房による作業環境の改善と不良率低減を提案していた。
同ブースは常にきれいな空気を塗装室内に供給するため、ブース外からのゴミブツ侵入を防ぐ、工場内に粉体が飛散しないといった特長を持つ。
更に小型冷房装置があるが、循環型のため冷えた空気を逃さず効率的に冷却できる。また、集塵装置は平均粒径2μmの粒塵に対して99.95%の優れた捕集効率を持つ。
その他、栗田工業が水洗ブース「水塵」を出展。ブース材質に高耐食溶融亜鉛メッキ鋼板のZAM材を使用したことで高腐食性を確保した。
また日塗工は長瀬産業、TOPPANと共同開発した「塗料業界向け労働災害体験VRコンテンツ」の体験コーナーを設置。静電気事故など労働災害の危険性をリアルに知れるシステムに来場者の関心を集めた。